男女のキャリア平等、賃金格差の縮小を実現するには「企業文化の変革」が鍵
コンサルティング会社アクセンチュアは、男女間の賃金格差を解消するために経営層が講じるべき対策などについてまとめた調査レポート「男女ともに活躍する企業への変革(Getting to Equal 2018)」を発表した。本調査は、女性のキャリアアップと男女間の賃金格差解消に効果的な要素を特定するため、日本の700人以上を含む、世界34カ国の働く男女2万2,000人以上を対象にアンケートを実施している。さらに、労働課題に関する公開データの詳細分析やインタビューも行い作成されており、男女のキャリア平等を実現する40の要素を特定している。
ダイバーシティ担当役員がいて、ダイバーシティを向上させる目標設定がされていること、男女ともに育休取得が奨励されていること、研修制度と受講環境が整備されていることなど、男女のキャリア平等の文化を生む40の要素が職場に浸透している企業では、ほとんどの従業員がキャリア構築に前向きであることが明らかになった。日本国内においても、従業員の大半がキャリアアップのタイミングやスピードに満足し、上級管理職への昇進意欲も高いことが分かっている。
また、グローバル全体に目を向けてみると、40の要素が職場に浸透している企業では、そうでない企業に比べて男性、女性ともに昇進の可能性が高まることが分かった。
・女性が管理職に昇進する可能性は35%高く、上級管理職に昇進する可能性は約4倍高い
・男性が管理職に昇進する可能性は23%高く、上級管理職に昇進する可能性は2倍以上高い
さらに、グローバル全体で40の要素が浸透した場合は、以下の効果が期待できるという。
・管理職の男女比率の改善:現在は、男性100人に対し女性34人。浸透後は、男性100人に対して女性84人に増える見込み
・女性の賃金上昇: 最大約320万円増加する見込み(51%アップに相当)
・男女間の賃金格差の縮小:女性全体の賃金は約310兆円増加する見込み
本調査について、アクセンチュアのインクルージョン&ダイバーシティ統括 執行役員 堀江 章子氏は次のように述べている。「今回の調査で、女性のキャリアアップを支える土壌がある企業では、男女ともに活躍していることが明らかになりました。会社全体が活性化し、女性だけではなく、男性も昇進の可能性が高まるのです」
また、経営者が企業文化の改革に取り組むとき、多様性に関して明確な目標を設定することが不可欠だ。アクセンチュアの最高リーダーシップ&人事責任者であるエリン・シュック氏は次のように述べている。「経営者は、企業全体の文化の方向性を決めるにあたり、大きな影響力を持ちます。また、女性の活躍を促進するには、男女のキャリア平等を経営上の戦略的優先事項に設定することが求められます。全ての人が公私共に活躍できる環境――つまり、誰もが日々疎外感を感じることなく、自分らしくいられる場所――を企業内に築くことが何より重要です」