Netflixの強さの理由 模倣者Spotifyとの違いとは?

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 Netflixの動画ストリーミングサービスが長きにわたって成功を収めているため、他社は異なるデジタルエンターテインメントやコンテンツでそのモデルを複製しようとしている。

 台頭したクローンの中で最も有名なのはSpotifyの音楽ストリーミングサービスだが、Netflixの動画ストリーミングと同じペースで成長するのは困難だろう。

 結局、NetflixとSpotifyの最大の違いは、自社をその他大勢のサービスから差別化する能力にある。

 Netflixは、他所では視聴できないオリジナル番組の制作に多額の資金を投じ、世界中の家庭で確固たる地位を築いた。

「ストレンジャー・シングス」、「ハウス・オブ・カード」、「ブラック・ミラー」といった人気番組を放映して、Netflixは毎年多くの加入者を増やすことができた。同時に、料金を緩やかに引き上げられるほど顧客ロイヤルティを高めてきた。その状況を生かしてテレビ番組や映画の放映権を獲得するための投資を行い、同時に採算性を確保してきた。

 これに対しSpotifyは消費者に対しデジタル音楽への幅広いアクセス権を販売しているわけだが、Apple、Google、Amazonといった多大なリソースを擁する大企業がほぼ同額の月間10ドルで提供する音楽ストリーミングサービスを取りそろえているのとそれほど差はない。

 Netflixの第1四半期決算の発表において、改めてその方程式の成功が浮き彫りとなった。米カリフォルニア州ロスガトスにある同社は、2018年1~3月の間に動画ストリーミング加入者を740万人増加させた。これで世界の全加入者数は1億2,500万人となり、このうち米国が約5,700万人を占めた。

 この業績は経営陣やアナリストの予想を上回るもので、投資家からも歓迎された。Netflixの株価は時間外取引で5%以上値上がりし、324.10ドルとなった。

 Spotifyも将来的に独自コンテンツを擁するコレクションを構築することもできるが、スウェーデンに本拠を置く同社がそれを実行する明確な手段は今のところない。大手レコードレーベルはこれまで、対価を支払ってくれるならどのサービスにも自社の音楽を提供するライセンスを与えてきたからだ。たとえレコードレーベルが一部の人気曲を独占的に取引すると提案したとしても、Spotifyがかなりの高値で応じるのは難しいだろう。

 大手音楽ストリーミングのライブラリは似通っているため、すでにSpotifyの価値は損なわれつつあるようだ。消費者調査会社ValuePenguinの分析によると、同社の月間有料会員あたり平均収益は、2015年の6.84ドルから昨年は5.32ドルに落ち込んだ。

 収益減は、同社がファミリーや学生向けに割引サービスを提供したのが主な要因とされる。これにより有料会員数は2015年の2,800万人から昨年末には7,100万人へと増加した。この数字は、最大のライバルであるApple Music会員数の約2倍だ。

 会員あたりの平均単価が低下しているため、Spotifyが利益を確保するのはますます困難になっている。2007年の創業以来、同社は一度も黒字を計上していない。

 他方、Netflixは米国でのストリーミング価格を2014年以降2回も値上げしている。今年の第1四半期、世界を対象とした有料会員あたり月間平均収入は10.10ドルだった。前年同期の8.89ドルと比較すると14%増である。

 同社CEOのReed Hastings氏は、「誰もが視聴したいと思う最高のコンテンツを揃えてまずは利益をあげなくてはならない」と、4月16日に行われた第1四半期決算の質疑応答の場で述べた。「もしそれができれば、顧客も緩やかな値上げを受け入れてくれる」

 Netflixの第1四半期の純利益が前年同期比63%増の2億9,000万ドル、1株あたり利益が64セントになった理由の1つに、サービス料金の値上げがある。

 Spotifyは動画ストリーミングにおけるNetflixになれると考える投資家はいまでも多い。こうした期待は、同社が上場企業としてデビューしてから2週間経過した時点で260億ドルの時価総額がつけられている大きな理由となっている。しかしSpotifyの株価は取引最高値の169ドルから15%値下がりしており、Netflixに近づけるのかという不安が反映されている。対するNetflixの時価総額は1,300億ドル超にも達した。

By MICHAEL LIEDTKE, AP
Translated by Conyac

Text by AP