Airbnbお墨付きの優良宿コレクション 「Airbnbプラス」13都市でスタート
民泊サービスのAirbnbは、登録住宅に検査官を派遣して査定を行い、優良な住宅を希望する利用客向けに厳選したハイグレードコレクションを提供開始する。
2月22日木曜日に発表された「プラスプログラム」は、過去の利用者の意見に基づく現行の評価システムに不信感を持つ顧客を獲得するための、新サービスだ。これまでAirbnbのシステムでは、実態にそぐわない評価により、カリフォルニア州パサデナのゴチャゴチャした汚い「ヒッピーコミューン」や、パリでの休暇がカビと虫だらけのアパートのせいで台無しになるというホラーストーリーが生まれるなど、大きな問題となった。
AirbnbのCEO、ブライアン・チェスキー氏はAP通信のインタビューに対し「時間がたつにつれて、自分のプラットフォームにもっと責任を持ち、自ら現場を管理し、そして判断していかなければならないのだと実感している」と話した。
若きチェスキー氏が、サンフランシスコにあるアパートの一室で、家賃に充てる資金を稼ぐために元ルームメイトとAirbnbを立ち上げてから10年。新サービスのAirbnbプラスプログラムには、実態に沿った詳細項目が組み込まれている。
Airbnbの社内調査によると、同サービスを利用する旅行者の約4分の3が、検査官が認定した優良物件に割り増し料金を払うことに前向きな姿勢を見せている。そのため、施設を提供する住宅所有者やアパート居住者はAirbnbプラスへの登録費149ドルをすぐに回収できる見通しだ。
検査では生身の人間が検査官を務め、Wi-Fiの速度から寝具の快適さまで、100点満点のチェックリストに基づいてあらゆる項目を検査する。検査で優良と認められない住居でも、Airbnbのレギュラーリストから除外されるわけではなく、資格獲得に必要な改善点のアドバイスも受けられる。
同プログラムは当面、テキサス州オースティン、スペインのバルセロナ、南ア共和国のケープタウン、シカゴ、ロサンゼルス、ロンドン、オーストラリアのメルボルン、ミラノ、ローマ、サンフランシスコ、上海、シドニー、トロントの13都市の2000軒を対象とする。これは、世界中の8万1000の都市に約450万もの物件を有するAirbnbの、ほんの一部にすぎない。チェスキー氏は今年中に同プログラムを50都市7万5000軒まで拡大していく方針だ。
現在Airbnbの成長は低迷しており、このタイミングで現状を一新し、2年以内に予定されているIPO実施前に流れを変えたい意向だ。同社の民泊サービスは盛況であるものの、ウォールストリートジャーナルが財務諸表をレビューしたところ、昨年の売上額は約26億ドルで最終的に7500万ドルの損失を計上するなど、Airbnbは赤字経営が続いているという。
サンフランシスコでのプレゼンテーションの中でチェスキー氏は、Airbnbが主要なホテルからビジネスを吸い取る業界の反逆者のような存在から、伝統的なホスピタリティ企業に近づくためのステップについても発表した。今後同社は、利用頻度の高い旅行者には割引などの特典を提供していく。さらにB&B(朝食付宿泊)やブティックホテルなどの分野も民泊サービスに追加していくという。
大手ホテル業界グループはAirbnbの拡大路線について、見せかけにすぎないと批判した。
アメリカの宿泊業界団体(American Hotel&Lodging Association)のトロイ・フラナガン氏は「Airbnbの最新の計画は、同社が業界規制を回避しつつ、ホテル業界でビジネスをしていくという証を強めているだけだ」と話す。「もしAirbnbがホテルビジネスに参入したいのなら、規制や課税、そして同じ安全基準に従わなければならない」
10年前の発足以来、Airbnbの成功は、ホテル税収入の減少に悩む都市の当局から批判されてきた。また、住宅が短期滞在向けに変換していくことを不満に思う長期賃貸の住人からも抗議の声があがっている。後者のような批判により、すでに住宅不足で価格が上昇するサンフランシスコのような街でAirbnbの物件探しが難航している。
「我々が各都市に悪影響を及ぼしたこともあり、それについては正面から向き合っていかなければならない」とチェスキー氏は認めている。しかし、彼はAirbnbがコミュニティに与える恩恵のほうが多いと信じているという。「好きな時に住居を提供して付加的な収入を得ることで、市民はその街を離れずにいてくれるのだ」
By MICHAEL LIEDTKE, AP Technology Writer
Translated by isshi via Conyac