「乗り降りに少しだけ歩いて」ウーバー、格安相乗りサービスを開始

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 ウーバーの新サービスを利用するには、少しだけ歩く必要がある。

 配車サービスのウーバー(Uber)が、アメリカの8都市で新サービス「エクスプレス・プール」を開始する。これは、出発地と目的地が近い利用者同士をマッチングするものだ。マッチングされた利用者は数ブロックほど歩き、共通の待機場所で集合する。到着後も、本来の最終目的地から少し離れた場所で下車することになる。

 同社のシェアライド担当プロダクトディレクターのイーサン・ストック氏は、時間帯や都市にもよるが、エクスプレス・プールを利用することで、ウーバーの通常サービスの代金と比べて75%安くなり、現在提供されているシェアライドサービス「プール」と比較しても費用が半額程度になると話す。プールの方も引き続きサービスは継続するという。プールの場合、集合場所まで歩く必要はない。そのかわり、回り道して利用者をそれぞれの場所でピックアップすることになる。降車時も同様だ。そのため、まっすぐ目的地に向かうエクスプレスよりも乗車時間が長くなることがある。

 ウーバーは昨年11月からサンフランシスコおよびボストンで試験的にサービスを開始しており、顧客数は1日24時間稼働するのに十分な規模だという。今後2日以内に、ロサンゼルスでも24時間体制のサービスが開始される。今後フィラデルフィア、ワシントンDC、マイアミ、サンディエゴそしてデンバーでも運用開始する予定だ。

 ワシントン大学でワシントン州交通センターのディレクターを務めるマーク・ハレンベック氏は、「新サービスは公共交通機関と競合する可能性があるが、それは、エクスプレスがどれだけうまく機能するか、そして公共交通機関がどれだけ優良か、という点によって変わる」と話す。バスや地下鉄が混雑している場合、ウーバーが同程度の価格でサービスを提供できるなら、交通の便を向上させることになる。

「ただ、利用者が飽和状態でない交通機関の客層を奪うことになれば、それはよくないことだ」とハレンベック氏は言う。

 また、ライドシェアリングサービスが公共交通機関から利用者を奪い、乗用車の交通量が増えれば、渋滞につながってしまう、と彼は言った。

 このサービスは、ウーバーのドア・ツー・ドアのタクシーサービスを補完するかもしれないが、乗客を奪う可能性もある。

 ストック氏は、このシステムは公共交通機関とうまく協調し、公共交通機関利用客の最初の1マイルと最後の1マイルを埋める事業を展開していくと話す。また、乗客が少なく、公共交通機関にとってコスト効果の低い地域にもサービスを提供できるという。さらに、個人的な自動車利用が減ることで渋滞緩和につながるとも述べている。

 すでにニューヨーク、シカゴ、ワシントンにはビア(Via)などの競合他社がライドシェアビジネスを展開している。

 エクスプレス・プールは、少なくとも開始当初は、通常サイズの乗用車で運用していく。利用客が窮屈な思いをせずにいられるよう、乗客数は最大3名となっている。今後は6人乗りの乗用車へも拡大していく可能性があるとストック氏は言う。

 ウーバーのコンピュータが乗客をドライバーや他の乗客とマッチングし、ピックアップ地点を選択するのに要する時間は1、2分だろうとストック氏は述べた。

 このサービスが比較的安価であることから、ウーバーの成長を支える事業になるはずだとストック氏はいう。「より多くの乗客が、さまざまな理由から、今よりも多く旅に出られるようになる」と彼は語った。ウーバープールが利用可能な都市では、すでにプールがウーバー利用者全体の20%を占めているという。

By TOM KRISHER, AP Auto Writer
Translated by isshi via Conyac

Text by AP