中国のシェア自転車、日本でも普及するか? 中国メディアの上げる懸念点
大気汚染の対応策として効果を発揮し、シェアリングエコノミーの一つになっている自転車シェアリングが世界各地でブームとなっている。特に中国ではその数1,600万台とも言われ、今年8月には中国の会社が日本に上陸。さらにアメリカに進出する可能性まででてきている。
中国では、最近になって自転車の管理を厳しくするようになったが、これまでは利用した後に自転車が道路わきに放置されしかも山積みになり、社会的な問題を引き起こした。そんな中国の自転車シェアリング運営会社の日本上陸。果たして、日本側でうまく対応できるのだろうか。
◆中国で爆発的なブームとなった自転車シェアリング
最近のシェアリングエコノミーの一つとして注目を集めている自転車シェアリングだが、その始まりはヨーロッパで、1965年と52年も前のことである。ただ、現在のように本格化したのはテクノロジーが発達した2014年からで、それ以来世界の50ヶ国で導入され、今後もさらに発展していく可能性が高い。
特に中国では2016年に導入され、急激なスピードで広まり、現在では100以上の町で使われている。CNBCによると、登録者数も総計で2億人、1日に5000万人が利用し、自転車の数も1000万台以上。
利用システムは簡単で、携帯にアプリケーションをインストールして登録すると、利用できる自転車の置き場がわかり、さらにアプリケーションを使ってロックを解除し乗ることができる。現在中国では主に「モバイク」と「オッフォ」という2つの会社が参入しているが、その他にも小規模な会社がいくつか参入している。
このシステムの魅力は安い利用料金と利用のしやすさで、料金は30分で1元(約17円)程度と安く、しかも利用後、公共の自転車置き場や公共の場所ならどこにでも捨て置きできる。しかしその一方で、放置され山積みとなった自転車の写真がソーシャルネットワークで公表されるなど社会問題になった。
◆中国の自転車シェアリング会社が日本に上陸
一方、中国と比べると普及率もまだ低いのが日本の自転車シェアリング市場だ。これまでサービスを提供していたのは主にNTTドコモの子会社で、ソフトバンクも最近になって自転車シェアリングをサポートするサービスを始めたばかりだ。このようにまだ本格化していないためか、日本の場合中国で起きているような放置された自転車の問題は起きていない。ただ、日本の自転車シェアリングは、まだこれからという感がある。
そのような中、今年の8月23日に中国のモバイクが札幌に上陸し、オフォの日本への参入も決まっている。中国ではうまく普及した自転車シェアリングシステムだが、道路状況や文化の違う日本の社会にどのような形で適応していくのか興味深いところだ。
◆日本における自転車シェアリング導入の課題とは
人民網日本語版の記事では、中国の自転車シェアリング会社の日本進出を懸念する意見が紹介されている。一番の課題が日本の道路が狭いことだ。中国に行くと気が付くと思うが、主要道路には並木が並び、自動車道、自転車道、歩道としっかり分けて整備されている。日本の場合は、北海道だったら広い道路もあり、導入しやすいかもしれないが、例えば東京だったらどうだろう。東京は狭い道路が多く、しかも交通量も多い。さらに東京では電車、地下鉄、バスと、公共交通機関が非常に発達しているので、自転車がそれほど必要とされないのではないかという意見も出ている。
さらに人民網日本語版は、自転車利用料金の支払いについて言及し、日本人の支払い方法は現金かクレジットカードで、携帯電話をほとんど使わないことを指摘している。
このように、中国の自転車シェアリングの日本への上陸には課題が多いが、自転車シェアリングは環境にとって良いことなので、課題がうまく解決されるようポジティブな目で見守っていきたい。