飲みニケーションは必要? 「シャイな日本人は飲まないと……」と海外メディア
SNSを通じたヴァーチャルなコミュニケーションを含め、他者と関わり方に多様な形が存在する現代社会において、日本の所謂「飲みニケーション」文化は異彩を放っており、海外でも注目されている。プライベートの時間を大事にしたい若者も増える中、今後も飲みニケーション文化は存続していくのだろうか。
◆外国人の考える飲みニケーション
日本で働く外国人は、同僚とのコミュニケーションに苦労することが多い。自分の思っていることをはっきり言うタイプが多い外国人にとって、日本のサラリーマンは礼儀正しく、もの静かで、なかなか打ち解けにくいのだ。ビジネスニュースサイト「ビジネスインサイダーUK版」は、外国人が仕事で日本人と信頼関係を築くためには飲みニケーションが必要だとしている。日本人は飲みニケーションを通じて自分をさらけ出すことで取引先や仕事仲間と信頼関係を築くので、現場で働くだけでは決して本音で日本人と語り合うことはできないと指摘している。また、同サイトはこうした日本の飲みニケーションは、協調性と対立の阻止をなによりも重視する日本人の文化に由来するものとしている。外国人は飲みニケーションを、シャイな日本人の人間関係を円滑にする重要な機能を担うものと考えているようだ。
◆若者を中心とした拒否反応
しかし日本国内では、若者を中心として飲みニケーションに対して拒否反応を示すものが増えている。第一三共ヘルスケアが20代の男性サラリーマンに「会社の飲み会」に関する意識調査を行なったところ、56%、つまり二人に一人以上の若いサラリーマンが「会社の飲み会」が嫌いだと答えたようだ。その理由としては、「お金を払ってまで職場の人間と一緒にいたくない」や「仕事が終わったら家で休みたい、疲れる」など、職場の人間関係をドライに捉え、自身のプライベートを優先させるものが多く見られた。飲みニケーション文化の伝統は若い世代の過半数には支持されていないのだ。
◆飲酒と信頼の関係
一方で飲酒と幸福との関連性について興味深い研究がオックスフォード大学の研究チームによって発表されている。この研究によると、行き着けのパブを持っている人は、そうでない人よりも社会との関わりを持ち、自身の人生に満足感を感じ、地域の住民に対してより信頼感を持つという。また行き着けのパブを持っているものは都市の大きなパブに行く者よりも、密な人間関係を築くという。つまり、小さなコミュニティでアルコールを介した人間関係を積極的に行なうことで、より深い信頼感を醸成することができるということだ。飲みニケーションが職場の人間関係に深い信頼感を醸成することに一役買うというのも頷ける結果のように考えられる。
飲みニケーションは日本独自のものであると同時に、形は違うがアルコールで築く人間関係とその重要性は外国にも共通してあるようだ。日本のある種の職場の伝統である飲みニケーションの効能は、世界でも共通のものとも言えるだろう。こうした効能を鑑みると、日本の若者に不評という傾向はあるにせよ、職場の信頼関係を構築する一つの方法としてこれからも形は変われども日本の職場に残っていくのではなかろうか。
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