世界で人気の車の色は何色? 1位の色に影響を与えたアップルの存在
いつの時代も自動車は利便性や快適性だけでなくファッションやテクノロジー、そしてライフスタイルを映し出す鏡のような存在だ。人気の車種やデザインは時代や地域によって変化する。
アメリカの自動車塗装メーカーであるアクサルタコーティングシステムズの報告書によると、2016年に世界で最も人気の高かった自動車の色は、昨年に引き続き白(全体の37%)だった。第2位が黒(同18%)、第3位は同率でシルバーとグレー(同11%)がランクインし、以下は赤、青、ブラウンが全体の6%で肩を並べる結果となった。この報告書はアクサルタコーティングシステムズが1953年から毎年行なっている市場調査に基づくもので、今回で64回目となる。
世界的な人気色である白、黒、シルバー、グレーはいずれも傷や汚れが目立ちにくく、飽きにくく、リセールバリューも高い定番色だ。
白は、今回で6年連続1位となっているが、それ以前はシルバーの時代が続いた。人気の色が白に変わった理由として、CNETではApple社の存在があることを指摘している。iPhoneやiPadなどApple社の製品には白を基調としたものが多く、それまで家電製品に多かった白に「デジタル」や「最先端」といったイメージが加わったのだ。
◆アジアで人気の車の色は?
次に地域ごとの特徴を見てみよう。アジアは白が48%と圧倒的に人気が高いことがわかる。唯一、インドだけはシルバーが1位になっている。
さらに日本、韓国、中国に注目してみると、それぞれの傾向が透けて見えて興味深い。日本でも白の人気は34%と根強いが、そのうちの8割は光沢感のあるパールホワイトだ。また、軽自動車やコンパクトカーも多いため、パステルカラーやビビッドカラーなどのバリエーションも豊富だ。
韓国と日本の共通項として、青の比率がいずれも8%と高いことが挙げられる。日本では近年販売台数の多いスポーツタイプのハイブリッドカーも、「海」や「水」を連想させる青をイメージカラーにしている。韓国では昔から大空に対して敬意を払う文化があるため、ブルーは「天青色」とも呼ばれ、好む人も多いようだ。
一方、中国では白が57%と圧倒的に多く、黒の18%がそれに続く。そして特徴的なのは、ゴールドの人気も5%と高いことだ。近年の経済発展が目覚ましい中国では、自動車に「高級感」や「重厚感」を求めていることがうかがえる。
◆一方、欧米、アフリカなどでは
車大国の北米では、デジタル時代が始まった当初から人気だったメタリックなシルバーは2001年から2005年にかけて1位の人気だったが、近年黒やトレンドの白(25%)にその座を譲り、2016年は1998年以後最低の11%で4位となった。国旗に使われる赤(10%)や青(8%)も一定の人気を保っている。
ヨーロッパも北米と同じ傾向で、白が27%、黒が20%でそのあとをグレー(17%)が追随する。二酸化炭素排出量への意識が高いヨーロッパでは、クリーンなイメージの青(9%)も人気が高い。
南米でも白が41%で1位だ。近年は白単色よりもパールホワイトなどの光沢のあるものが好まれるようになってきている。また、緑も5%と比較的多くなっており、これはロシアと南米に特有の傾向だ。
アフリカでは白(47%)とシルバー(16%)で全体の半数以上を占める。外気温の高い地域なので、太陽の熱を吸収しやすい黒をはじめとするダークカラーはあまり好まれないとも言われている。南アフリカ共和国のみ、シルバーが1位を獲得している。
◆景気と車の色の関係
一般的に、景気が低迷しているとモノトーンなど無彩色が好まれ、好況時にはカラフルな有彩色の人気が高まるという。調査元のアクサルタコーティングシステズによると、今年の傾向として「無彩色の根強い人気と有彩色復調の兆し」が見られるというが、こうした有彩色の復調通り、世界経済が好況に進んでいくのかどうか、ということにも要注目だ。
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