急速に変化するダイナミックな世界都市ランキング 1位はバンガロール
総合不動産サービスのJLLは、世界の都市活力を分析した2017年度版のレポート「JLL City Momentum Index(CMI)」を発表した。確立された大都市から成長著しい新興都市に至るまで、世界134の主要なビジネスハブが調査対象となっている。
最もダイナミックに変化する都市のトップ30は以下の通りだ。地域としては、アジア太平洋地域の都市が過半数の16都市を占め、同地域の勢いを示す結果となった。国としては、インドの6都市が中国を抜き最多となり、テクノロジーハブであるバンガロールが初めて1位となった。
日本の都市はトップ30にはランクインせず、最高位は37位の東京(2016年は14位)だった。本レポートで東京は、モスクワやヒューストンと並び、長期的モメンタムに強い一方で、短期的モメンタムに弱い都市にグルーピングされている。CMIは短期の社会経済的変化に重点を置いており、結果的にはダイナミックに変化する都市としての評価は伸び悩んだ。一方、ロンドンやボストン、シドニーなどは短期的モメンタム、長期的モメンタムの両面に強みを持つ都市と分析されており、成熟した都市の中でも上位にランクインしている。
また、同レポートではトップ30の都市は5つのグループに分類され、その特徴が分析されている。
1, 確立された世界都市
テクノロジーと経済を融合させ、優秀な人材が集まるよう既存の強みを活用している。ロンドン(6位)、ニューヨーク(14位)、パリ(17位)、ロサンゼルス(27位)がランクインしている。過去2年で1位だったロンドンはEU離脱決定があったものの回復は早く6位となった。
2, 新たな世界都市
高度な技術が牽引。米国のシリコンバレー(3位)、オースティン(7位)、ボストン(9位)、シアトル(20位)、サンフランシスコ(21位)、ローリー・ダーラム(24位)、オーストラリアのメルボルン(12位)、シドニー(16位)、欧州のダブリン(28位)、ストックホルム(30位)では、強固なインフラ、生活の質や透明度が高い商習慣が都市のモメンタムや不動産市場を活性化した。
3, 新興の高価値都市
付加価値の高い経済活動への移行により、上海(4位)、北京(15位)、そしてインドのバンガロール(1位)とハイデラバード(5位)、中国の深セン(22位)がランクイン。
4, 新興のメガシティ
活気ある労働市場が牽引し、チェンナイ(18位)、マニラ(19位)、デリー(23位)、ムンバイ(25位)などがランクイン。一方で、これらの都市のガバナンスが低いため、不平等、密集、公害などの深刻なインフラ環境や生活の質に関する問題を抱えている。
5, 潜在力の高い都市
コストの低さ、急拡大する消費市場、海外からの直接投資が特徴で、ベトナムのホーチミン(2位)、ハノイ(8位)や東アフリカのテクノロジーハブであるケニアのナイロビ(10位)が分類される。
最後にCMIの評価方法を紹介する。CMIは都市のダイナミズムを示す42の要素を考慮しており、次の3つのグループに大別される。
1, 社会経済的モメンタム
都市のGDP・人口・航空旅客数・企業本社数・外国直接投資(FDI)の変化
2, 商業用不動産モメンタム
オフィス、リテール及びホテルセクターを対象とした、需要・供給・賃料・投資総額・不動産透明度の変化
3, 高価値インキュベーター
教育・イノベーション・環境の点において、モメンタムを長期的に維持する都市の基礎的特性
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