米自動車品質調査、韓国車が大躍進 初の平均以下の日本車、明らかになった弱点とは

 アメリカのマーケティング情報サービス企業、J.D.パワーが行った2015年米国自動車初期品質調査(IQS)で、韓国車が他地域のブランドを抑え、最高評価を受けた。一方日本車の品質は、調査開始以来初の業界平均以下となった。

◆新車の不具合最小は韓国車
 この調査は、新車購入から90日後の消費者調査をもとに、ブランドをランク付けするもの。初期品質は、新車100台当たりの不具合件数をもとにしており、数値が小さいほど不具合の報告が少ない、つまり品質が高いということになる(ロサンゼルス・タイムズ紙、以下LAT)。

 地域別に見ると、韓国系ブランドがトップで、不具合は100台あたり90件だった。2番手は欧州系で113件。日系は米国系と同じ114件となり、調査の29年間の歴史において初めて業界平均(112件)に劣る結果となった(LAT)。

 ブランド別で見ると、ポルシェが不具合80件で3年連続の最高ランクに輝いた。これに起亜86件、ジャガー93件、ヒュンダイ95件、日産インフィニティが97件で続いている(LAT)。起亜は、調査開始以降初めて、ノンプレミアム・ブランドにおいてトップに立った(ロイター)。

 J.D.パワーの米国自動車品質部門の部長、レネ・ステファンズ氏は、「日本車がすべて悪くなっているわけではなく、ライバルたちよりも品質改善の速度が遅いことを今回の結果が示している」とし、品質という視点においては、明らかなシフトが見られると述べた(米CNBC)。

◆新車でなければトヨタも高評価
 ステファンズ氏は、「デザインから完成に至る過程、また完成品に対し、韓国の自動車会社は正しく理解することにフォーカスしている」と述べ(CNBC)、質を重視する姿勢が、今回の高評価につながったと見ている。実は数年前、ヒュンダイと起亜は、品質を落とさないためグローバルな事業拡大の速度を落とすと決定。工場を増やさない韓国メーカーに対し、セールス拡大の機会を逃しているのでは、という率直な声も業界内から聞かれたが、今回の調査で、両ブランドの決定の正しさが実証されたとCNBCは述べる。

 一方、ブランド別で、レクサスを9位に送り込むにとどまったトヨタは、「数々の調査で、引き続き当社の自動車は、最も耐久性があり信頼できる車の中に位置付けられている」とし、車両の「品質、安全、長期的な価値を確かなものとすることに尽力していく」とコメントした(ブルームバーグ)。

 実はJ.D.パワーは、3年間でどの程度品質を維持できるかを見る、長期の車両信頼性に関する調査も2月に発表しており、レクサスは4年連続で最高評価を獲得している(ロイター)。新車に限らなければ、依然としてトヨタへの信頼は高いようだ。

◆ITに弱い日本車
 さて、今回の調査でもっとも大きな不具合の原因とされたのは、音声認識やBluetooth対応などのテクノロジー領域だ。「スマホの普及により、テクノロジーとはこうあるべきという消費者の期待が高く設定されてしまい、自動車会社はそれに応えるのに苦労している」とステファンズ氏は指摘する(LAT)。

 同氏は、日本の自動車メーカーに改善は見られるが、インフォテイメント(情報と娯楽を融合したもの)と音声認識システムの新型車への組み入れによって、打撃を受けてきたと説明。「音声認識システムの不具合で言えば、下位20車種のうち16モデルが日系ブランド」だとし、日本車がこの分野でつまずいているとの認識を示した(CNBC)。

Text by NewSphere 編集部