サムスン渾身の新作Galaxy S6、不振なのは日本だけ? 理由を海外メディア考察
4月に発売された、サムスンのGalaxy S6とS6 edgeの販売が低迷している。アップルからシェアを奪うべく、渾身の力を込めて日本市場に投入された最新作だっただけに、ガッカリ感が広がった。また、日本独特の諸事情により、市場攻略の難しさを指摘する声もある。
◆不振は日本だけ?
サムスンは今回、あえて自社ロゴを製品から廃し、「Galaxy」のブランド名だけを製品に記すという思い切ったイメージ変革に着手した(Ubergizmo)。また、日本法人の最高執行責任者には、NECやシスコシステムズで業界経験の豊富な堤浩幸氏を起用し、事業のテコ入れを図っている(Korea IT Times)。
オンラインIT誌 『Android Authority』は、S6とS6 edgeは、サムスンのスマートフォンの中ではほぼ間違いなく最高、かつ最も高価なものだと解説。リアパネルには強化ガラス、サイドにはメタル素材を使用したフラッグシップモデルで、誰の目から見ても折り紙つきの実力だと述べた。
しかし、日本においては、風向きは変わらなかったと同誌は述べ、そのセールスの不振に目を向ける。日本の量販店のPOSデータをもとに集計した実売データベースである、『BCNランキング』によれば、発売1週目でS6は17位、S6 edgeは10位(4月27日から5月3日分)につけたが、翌週はあっという間に順位を落とし、それぞれ30位と26位に後退した(5月12日更新のデータではそれぞれ30位、39位)。
『ビジネス・コリア』は、新作の不振は日本市場のみだと説明。イギリスのスマホ・セールス・ランキングではトップ5に入っており、ドイツのアマゾン新作スマホ販売ランキングではS6が2位、S6 edgeは3位につけていると述べる。予約数においても、中国ではGalaxy S5と比べ4倍、事前注文はインドではS5の4倍、アメリカでも2倍だったとし、依然好調だと述べている。
◆日本人は欧米寄り、アジア軽視?
海外ITメディアは、日本での不振の原因をそれぞれ推測している。
各紙共通なのは、アップルの存在だ。『Korea IT Times』によれば、日本市場ではサムスンの4.6%に対し、アップルのシェアは40%を超える。『Ubergizmo』は日本の人気スマホ上位10機種中、6機種がiPhoneであり、アップル人気は圧倒的と指摘。iPhoneはもはやコミュニケーション・ツールを越え、ステータス・シンボルになっていると述べる。
『ビジネス・コリア』は、戦後アメリカに占領されていた日本では、西洋は東洋よりも優れているという「マッカーサー・シンドローム」なるものがあるとし、アップル人気もいくらかここに起因すると指摘。また歴史問題で日韓の関係が悪化していることも、サムスン不人気の要因と考えられると述べている。
『Korea IT Times』は、日本のスマホ業界はアジア企業には参入が難しく、消費者も国産ブランドを好むとするアナリストの意見を紹介。さらに、「日本は欧米に共鳴する傾向があり、アジア諸国を見下す。根深い極端な排他主義だ」という韓国の日本人大学教授の言葉を引用し、『ビジネス・コリア』よりもさらに過激な考察を示した。
◆実は本国でも苦戦
さて、アメリカのITブログ『Apple Insider』は、韓国聯合ニュースの報道を引用し、地元韓国では、予約数30万台と発表されたGalaxy S6 ラインナップの販売は、4月10日から20日までで、「20万台強」にとどまっていると伝えている。韓国では、キャリアが携帯に付ける補助金の上限が法律で定められており、最近までサムスンの携帯への補助金が低く抑えられてきたことが原因と見られているそうだ。
「補助金の額が増えれば、販売数も伸びる」と楽観視するリテーラーもいるようだが、国内外を問わず、今後のセールスが気になるところだ。