タカタ社長、海外紙の全面広告で問題解決誓う “リコール拡大避けている”と米紙批判も
タカタ製エアバッグ問題を受け、日本で車の基準が変更する可能性が出てきた。日本の自動車メーカーもインフレーター(エアバッグを膨らませるためのガス発生装置)の定期交換について検討を始めたのだ。タカタ製エアバッグに関連してはこれまでに2000万台以上がリコールの対象になり、5件の死亡事故が起きている。
◆基準変更で、ライバルメーカーは「得をする」
タカタ製エアバッグ問題における原因は経年劣化だという指摘がある。
日本自動車工業会(自工会)とホンダの会長である池史彦氏は月例記者会見で、エアバッグのメンテナンス基準変更の可能性について「自工会は国土交通省と同じ見解を持つ」と語った。すでに非公式で検討を始めているという。
自動車調査会社カノラマの宮尾健アナリストによると、メンテナンス基準変更でダイセルや日本化薬、TRW、オートリブなど、ライバルのエアバッグメーカーは得をするという(ブルームバーグ)。タカタの最大の顧客であるホンダは、リコール車のエアバッグ交換部品を確保するため、調達先をオートリブ(スウェーデン)やダイセル(大阪)に切り替えている。
「タカタのシェアは低下し、2020年までにオートリブとダイセルがエアバッグインフレーターの世界市場の半分以上を占めるだろう」というバリエント・マーケット・リサーチのアナリスト、スコット・アップハム氏の指摘をブルームバーグは掲載した。
◆米当局から非難される中、タカタの融和姿勢は戦略的か
米道路交通安全局(NHTSA)は、タカタが(エアバッグ破裂の可能性が高い)高温多湿地域に限定してリコールすることを認めた上で、リコールを全米に拡大しなければ法的手続をとる構えだ。
だがタカタは先月、全米にリコールを拡大する必要はないとの考えを示していた。高田重久会長の会見はこれまで開かれていない。
そんな中でタカタは18日、ニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙、デトロイト・フリー・プレスなど米国とドイツの主要紙に「今後のリコールについて米規制当局と自動車メーカーと協力し、交換部品の生産を強化していく」旨の広告を掲載したと発表した。これは高田重久会長名義のオープンレター形式だという。
この広告についてウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「より融和姿勢だが、リコール拡大についての考えを避けている」と指摘した。
タカタは今月、エアバッグ問題で高まる社会的関心を抑えるため、米PR会社サード・バービネンと契約。またブルームバーグによると、グローバルコミュニケーション担当副社長のアルビー・バーマン氏は退職するという。