グローバル起業家精神ランキング、日本33位… “世界の変化に鈍感”との海外の声も
アメリカの非営利団体Global Entrepreneurship and Development Institute(GEDI)が2015年のグローバル起業家精神指数(GEI)を発表した。
◆英語圏強し
GEIは、「起業家としての姿勢、能力、野心」の3つの副指数から算出される。それぞれが、いくつかの柱となる項目で構成され、さらにその下に組織的変数と個人的変数が置かれる。例えば、「起業家としての姿勢」のなかの項目のひとつは、「リスクの許容」であり、それを構成するのが、「ビジネスリスク」という組織的変数と「リスクの認識」という個人的変数となる。
これらをもとに、世界130か国のGEIが算出され、そのスコアに基づくランキングが発表された。上位10か国は、アメリカ(スコア85)、カナダ(82)、オーストラリア(78)、イギリス(73)、スウェーデン(72)、デンマーク(71)、アイスランド(70)、台湾(69)、スイス(69)、シンガポール(68)。
上位4か国はいずれも英語圏の大国。それをスカンジナビア勢が追う形となった。アジア太平洋地域からは、「リスク・キャピタル」、「製品イノベーション」、「高成長」が評価された台湾が8位に食い込み、シンガポールも初のトップテン入りを果たした。
◆日韓は振るわず
一方、アジアの経済大国日本は、世界では33位、アジア太平洋地域では6位。お隣の韓国もそれぞれ28位、5位と振るわなかった。
GEDIのレポートは、この結果から、両国のイノベーションのエネルギーは、ほとんどが世界をリードする大企業経由だと分かると指摘。多くの中小ビジネスを含め、日韓は強力なサプライチェーンをもっているが、おそらくこれらの企業の多くが、イノベーションの可能性を持っているのに海外での成長を求めず、自国のサプライチェーンに留まるのに満足しているのだろうと述べている。
グローバルビジネスと投資の専門家Panos Mourdoukoutas氏は、フォーブス誌に寄稿し、日本の問題は、人口減少で才能ある若者が減っていることだと指摘。移民政策の厳しさ、保守的ビジネス文化も手伝って、海外から優秀な人材を引き付けることもできないと述べる。また、「世界はすごいスピードで変化しているのに、(日本人は)すでに変わってしまった世界に適応することにも気が進まない」という、読者のコメントを紹介し、失われた20年と改革の後、日本の状況は悪化していると述べている。
◆中国も残念
日韓と並び残念な結果となったのは、発展著しい中国だ。世界では61位、地域でも9位でパッとしなかった。
Mourdoukoutas氏は、起業家精神は、既存の規範に従う中国の儒教文化には溶け込まないと指摘。さらに、改革開放後も政府の影響が大きく、消費者が中心の変化の速いグローバル市場においては、中国の「共産主義の遺品」的アプローチは非合理的に映ると説明する。
アリババ、小米、百度のような会社は、消費者を意識しているが、これらの企業だけでは、グローバルな起業家精神規模に中国を押し上げるには充分ではないと、同氏は指摘している。
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