「成功に自信」ソフトバンク、インドネシアECに出資 投資加速の背景とは? 海外注目
ソフトバンクは22日、米ベンチャーキャピタル『セコイア・キャピタル』などと共同で、インドネシアのECサイト最大手『PTトコペディア』に1億ドルを出資すると発表した。
ソフトバンクによると、条件が整えば契約は12月に完了する予定だ。
◆4人で始めた会社が5年で急成長
トコペディアの「トコ」とは、インドネシア語で買い物を意味するそうだ。同社は、2009年にウィリアム・タヌウィジャヤ氏(現CEO)らが起業した。日本の楽天に似たシステムで、洋服から電子機器まで幅広く販売している。出店には手数料をとらず、収益を上げるよりも成長することに重点を置いているようだ。
タヌウィジャヤ氏は、「ソフトバンクのアリババとの緊密な関係や、両企業が世界で最も価値のある市場を作り上げた経験は、トコペディアにとって非常に貴重なものだ」(フィナンシャル・タイムズ紙)と話している。
創業当時、4人で始めた事業は、現在136人を抱えるまでに成長した。月に200万点以上の商品を販売しているという。
タヌウィジャヤ氏は、「今回の契約で、トコペディアは最高の組織を構成し、利用者を助ける世界標準の技術開発と最も快適な環境を提供するための、十分な資金を得る」(フォーブス誌)と述べた。
◆期待の大きいインドネシアのネット事業
フィナンシャル・タイムズ紙は、インドネシアのネット利用者について、2015年までに、7500万人から1億2500万人に急増するとの予想を取り上げている。インドネシアは、電子商取引が今後最も伸びる国のひとつと考えられている。
セコイア・キャピタル・インディアのマネージング・ディレクター、シャイレンドラ・シン氏は、「インドネシアの電子商取引市場は、花開こうとしている」と市場の成長を期待している。「(インドネシアでは)インターネットやモバイル端末を利用する積極的な動きが見られる。トコペディアの売り手と買い手を結びつけようとの構想に刺激を受け動かされた」(フィナンシャル・タイムズ紙)
フェイスブック、ツイッター、ウーバー(Uber)などは、相次いでジャカルタにオフィスを開設している。
◆専門家からは忠告も
インドネシアの電子商取引市場はまとまりがなく、実態を知るためのしっかりした統計もほとんどない、とフィナンシャル・タイムズ紙は指摘している。
また、海外の投資家に対し、インドネシアの電子商取引は始まったばかりで、このまま急激に成長が進めば、法整備が追いつかず、代金支払いのシステムも信頼性を欠いたものとなってしまう、と注意を喚起する専門家の意見を取り上げている。
地元レッドウィング・コンサルタンシーのデイブ・シュカー氏は、「今回の投資は、他の投資家たちの目をインドネシアに向けることになるだろうが、地元の起業家たちは、夢物語ではなく、堅実な成長の見通しをしっかりと示す必要がある」(フィナンシャル・タイムズ紙)としている。
◆攻勢を続けるソフトバンク
ソフトバンクは、アリババに出資で利益を確保してから、矢継ぎ早に投資をしている。10月始めには、オンライン・ビデオを配給するドラマフィーバーを買収、米エンターテインメント企業『レジェンダリー・エンターテイメント』 に2億5000万ドル出資することを決めた。
今回の契約は、7月にソフトバンクのバイス・チェアマンに就任したニケシュ・アローラ氏のもと、ソフトバンク・インターネット・アンド・メディア(SIMI)を通して行われる。出資により、同社はトコペディアの取締役にも席を得る。
アローラ氏は、「当社インターネット事業が有するネットワークとの相乗効果で、トコペディアのインドネシア市場での成功をかなえることができると自信を持っている」(ロイター)と述べた。
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