ブレーキ踏んでいるのに急発進!? トヨタ「カローラ」に苦情、米当局が170万台調査へ

 米幹線道路交通安全局(NHTSA)は29日、ブレーキを踏んでいる時でさえ突然急発進するトヨタの「カローラ」に、163件の苦情が寄せられたことを発表。検証した上で正式に安全性の調査を必要とするかどうか判断するとしている。

 米当局によると、カローラ所有者の一人から、ブレーキを踏んでいるのにもかかわらずジープにぶつかったとして、調査の依頼を受けているという。調査を行う場合、2006-10年型のカローラ170万台が対象となる模様。

 この件に関し、トヨタは「いかなる調査にも全面的に協力する」とコメントしている。リコールが続いているトヨタにとって致命的な問題にまで発展しそうな今回のケースに複数のアメリカメディアは、「トヨタカローラの急加速」との見出しで報道している。

【運転もしたくない、でも売れない】
 「車が勝手に前に進む、ブレーキを踏んでも加速し続ける」と怖い体験をしたキャシーさん。彼女の夫は「彼女はカローラを運転したがらない、けど私の良心から売りにも出せない…」と板挟みである心境をAPに語っている。

 NHTSAに苦情を申し出たことについては、「多分、事故の事前防止に役立つかもしれない。こうすることで、トヨタは原因を解明するため時間とお金をつぎ込み、何かしら不具合が見つかったら変更を加えるだろう」と述べている。トヨタはこの苦情に対しコメントを控えている。

【トヨタ追求の急先鋒「ケイン氏」が再登場、大炎上の可能性も】
 ショーン・ケイン氏はアメリカの自動車訴訟で有名な人物だ。依頼主から自動車の安全性調査の依頼を受け、自動車メーカーを提訴する調査を生業としている。

 ケイン氏は5年前にもトヨタの一部の車種で見られた「意図せぬ急加速」について調査していたようだ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、5年前のトヨタ訴訟で原告側の弁護士らがケイン氏の助力が助けとなったと述べているという。

 今回のケースでもケイン氏が登場するようだ。カローラの所有者の一人が「トヨタは安全性の問題を隠蔽し、誤解を与える発言をしている可能性がある」と述べ、ケイン氏に調査を依頼した模様。依頼を受けたケイン氏は「NHTSAに寄せられた150件以上の苦情は、類似問題に関連しているように思われる」と指摘している。(USAトゥデイ)

【5年前の1000台リコールを彷彿させる】
 今回の事案は5年前の「意図せぬ急加速」した不具合に似ているとAPが報じている。

 発生当時、トヨタは意図せぬ急加速に関して、アクセルとブレーキを踏み間違えたドライバーに原因があるとしていたが、フロアマットの不良でアクセルペダルが引っ掛かると説明し、リコールしている。また、電子制御システムの不具合だとも疑われていたが、米航空宇宙局(NASA)が行った調査では、電子系統やソフトウェアのコード・エラーに問題があるという証拠は何も見つからなかったとしている。

 トヨタは、「十分な情報を公開しなかったことで米消費者に誤解を招いた」と認め、制裁金12億ドルの支払いに合意している。今回のケースでトヨタは早い段階から全面的に調査に協力すると述べている。対応次第では大きな問題に発展するだけにトヨタの言動に注目が集まっている。

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Text by NewSphere 編集部