日本車メーカー、インドのブランド力ランキングで上位 “欧米メーカーより戦略的”

 市場調査・コンサルの米JDパワーが9月24日に発表した、インドにおける乗用車のブランドイメージとポジショニングに関する調査「2014 India Brand Influence and Positioning Study (BIPS)」によると、同国では自動車メーカーがそれぞれの特徴を明確に消費者に伝え、ブランドイメージを確立することが困難とされているようだ。特に海外メーカーのブランドイメージは弱く、「外車」と一括りにされていることも珍しくないという。今後、成長が期待されるインド市場においてブランド戦略は重要となってくるため、メーカーと消費者の間に存在する認識の違いを見極めることが成功へのカギとなってきそうだ。

 本調査はインド30都市で自動車を30~42ヶ月間所有している8009人を対象に2014年1月~4月の間に実施された。

【インドで人気のメーカー】
 本調査がまとめたブランド力ランキングによると、1位はマルチ・スズキ・インディア(1000ポイント満点で837ポイント)だった。同社は日本の自動車メーカーであるスズキがインドに設立した生産販売子会社であるものの、インド人にとっては「インドの会社」として認知されているという。続いて、韓国の現代自動車(758ポイント)、トヨタ(729ポイント)、ホンダ(723ポイント)、インドのタタ・モーターズ(703ポイント)などが挙げられた。トヨタやホンダが他社からの差別化をできている一方で、日産(589ポイント)や三菱(565ポイント)は評価が低かったようだ。

 また、世界的な有名ブランドであるフィアットやフォード、ルノーなどはそれぞれの特徴が曖昧なようで、「欧米の車」という漠然としたイメージの域をなかなか越えられないようだ。また、日本車のイメージは欧米や韓国メーカーよりもよりグローバルなイメージがあるようだ。

【地域別の特徴】
 特に北部や東部の非首都圏地域ではグローバルブランドはどれも同じような車種というイメージが強く、ビジネスアプローチの特徴も明確に伝わっていないという。一方で、西部や南部の発展している都市が多い地域では消費者の多くが頻繁にインターネット上で自動車などの口コミやレビューを投稿したり閲覧しているという。

【インド市場の成長に期待】
 インドの自動車市場は2012年に低迷したものの、最近また勢いを取り戻している。インド自動車工業会(SIAM)によると今年8月の国内新車販売台数は、前年同月比8.7%増の26万2,388台で、そのうち乗用車は12.5%増の21万3,915台だった。この要因としては、景気復活というよりは5月の新政権発足を機に消費者心理が改善されたことが大きく影響したのではと分析し、今後も緩やかながらも回復を続けるとの見通しだ。

 JDパワーは本調査を通して「この5年間でブランドイメージや評判はインド市場において重要度が増してきている」としている。実際に、ブランドイメージが曖昧な多くの欧米メーカーは新モデルの発売自体をニュースとして打ち出したり、そのデザインや流行性に重点をおいた広告を展開していることが多いようだ。しかし、インドの消費者は最新機能や進化した技術などの情報を求めており、それが他社との差別化に繋がるという。

 多くの地元メディアも、国内で各メーカーが明確なブランドイメージを浸透させ、ポジションを築いていくのは容易ではないため、各社は広告戦略を見直すべきだとして報じている。

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Text by NewSphere 編集部