世界で勝つため、まず日本に参入 ダイソンの新型ロボット掃除機戦略
ダイソンは4日、『ダイソン360アイ』と名付けた円盤型ロボット掃除機を発表した。ダイソンは世界に先駆け、2015年春から日本国内で発売を開始する予定だ。秋には、アメリカ、ヨーロッパ、中国、オーストラリアなどでの販売を予定している。価格はまだ明らかになっていない。
日本のロボット掃除機市場は、米アイロボットの『ルンバ』がその人気に火をつけた。昨今は、韓モニュエルの『クレモン』、同サムスン『パワーボット』、同LG『HOM-BOT スクエア』、そして東芝『スマーボ』などがシェアを争う。
ダイソンが日本で先行発売を決めた狙いは何なのか、また新商品の特徴はどのようなものか。
【環境を全て把握する眼】
ダイソン360アイは、360度カメラで全視野を認識し、部屋の形状を詳細に読み取る。そして、赤外線センサーにより常に自分の位置を探知して、部屋の中を効率的に移動する。
創業者のジェイムス・ダイソン氏は、「多くのロボット掃除機は、周りの環境をよく見ていないし、吸引力も弱くきちんと掃除できない。見掛け倒しだ」(フィナンシャル・タイムズ紙)と他社製品との違いを強調した。「とても効果的なナビゲーションシステムを開発した。同じことを2度もやる必要はない。行き当たりばったりや、十分な情報もなく動作するのはバッテリーの無駄遣いだ」とも発言した。これは、壁にぶつかっては角度を変えて動くルンバへの「鋭いジャブ」だとウォールストリート・ジャーナル紙は形容している。
またベルト駆動方式を採用し、多くのロボット掃除機は立ち往生してしまうような、毛足の長いカーペットの上もスムーズに進むという。
さらに、Wi-Fi経由で、スマートフォンでの操作が可能だ。システムの不具合が起きた際、インターネット接続で、迅速でより効果的な問題解決が可能だ、と同氏は説明している。「スマホアプリを利用することで、ボタンやダイヤル、リモコンよりもはるかに優れた操作性を手にすることができる」(ウォールストリート・ジャーナル紙)。
【手にしてみないとわからない】
ウォールストリート・ジャーナル紙は、欠点と考えられる点を指摘している。
まず、高さ12cmで他社製品より高いため、ベッドやソファの下に入って掃除をすることができないと懸念される点。次に、ダイソン氏が強調する視覚的認識システムが、暗い部屋でも働くのかどうか。そして、効果的に動くため、バッテリーの寿命は他社製品より短くても大丈夫だというが、一度の充電で動くことができる29分間で、どれだけのことができるのか。実際に試してみる必要がある、と指摘した。
【掃除機は可愛さよりも掃除が本分】
フィナンシャル・タイムズ紙は、ダイソンが技術に対して目の超えた消費者が多い日本で、既に販売されている他社のシェアに切り込もうとしている、と報じている。日本経済新聞によると、9月から日本の消費者のモニターを募集し、発売前に準備期間を設けて商品の最終調整をする計画だ。日本市場で磨いた商品で世界市場に挑む、と同紙は日本先行発売の狙いを報じている。
ダイソン氏はこれまでずっと、ロボット掃除機の開発に意欲を見せてきた。2月には、ロボットの視覚システム開発のために、インペリアル・カレッジ・ロンドンの新しい研究所に、500万ポンドを投資した(フィナンシャル・タイムズ紙)。
米誌『スタッフ・マガジン』のウィル・フィンドレイター氏は、「本当にダイソンが説明するように機能するなら、このロボット掃除機は、単にマニアのための商品ではなく、市場の主流となりうるだろう」(BBC)と予想している。「今まで他社製品を使ってきて確かに感じるのは、それらが床を掃除するという掃除機の本分ではなく、ロボットとしての技術面により重点を置いているのではないかということだ」(BBC)とダイソンが吸引力などにこだわって開発をすすめたことを評価している。
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