日本カジノスクール、カジノ合法化へ期待大 開校10年…校長の「賭け」を米紙が報道

 6月に終了した先の通常国会で、統合型リゾート(IR)の整備を進める「IR推進法案」が審議入りし、7月には検討チームが発足した。秋の臨時国会での審議が予想される同法案の中心的トピックとなる「カジノの合法化」について、海外メディアが論じている。

【日本におけるカジノ合法化の動き】
 カジノの合法化は「安倍首相が推進する経済再生計画の一環」であるとチャンネル・ニュース・アジア(CNA)は伝え、カジノの開業は日本に経済的利益をもたらすことが期待される、と述べる。匿名の政府関係者による、カジノは重要な国庫収入を政府・地方自治体にもたらすだろう、との発言も報じられている。

 また、暴力団の参入やギャンブル依存症患者の増加といった社会問題の悪化が懸念されている。対応策として、2010年にIRを開設したシンガポールを見習うだろう、とCNAは見ている。具体的には、住民からの入場料の徴収や、マフィア排除のためのカジノの公設などだ。

【合法化を待望するカジノスクール関係者】
 日本におけるカジノの合法化をいち早く予測していたのは、日本カジノスクールの校長の大岩根成悦氏である。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によると、2004年にスクールを開校した同氏は「近いうちにカジノが合法化されると確信していた」という。スクールでは、カードの操り方からカジノにおけるホスピタリティに至るまでを教えている。

 同スクールでは、3ヶ月から1年までの様々なコースで学ぶことができ、1年コースの学費は最大で約8000ドルだ。CNAはスクールで学ぶ学生の声も掲載している。ある学生は「年齢や性別が問題にならない、何か新しいことをしたかった。(日本での)カジノの合法化が予想されるという話を聞いたので応募した」と語っている。

 減少傾向が続いていた同スクールの入学者数は、昨年からV字型回復を見せている。しかし、400人を超す卒業生のうち、海外のカジノでフルタイムの仕事についている者は70人程度で、一部の卒業生が働く地域では一日分の給料がわずか数ドルだったりもするという。CNAは、カジノ合法化の経済的影響は観光業の増強が大半で、雇用の創設ではないだろうとのアナリストの見解を報じる。大岩根氏の望みは東京オリンピックまでに日本でカジノがオープンすることだが、もしも上手くいかなかった場合には、海外に小さなカジノを買い取り、卒業生を送り込むというプランもある、とWSJは伝えている。

【カジノ合法化でも経済の見通しは甘くない?】
 日本でのカジノ合法化は果たして成功するのだろうか。Muhammad Cohen氏はフォーブス誌への寄稿で、モルガン・スタンレーのレポートを引いて分析しているが、その結論はそれほど芳しいものではない。

 日本ではパチンコが「近所のギャンブル場」としてポピュラーだが、カジノはその役割は果たせない、と同氏はのバエル。パチンコ客はカジノ客にはなりづらいというのだ。

 また日本はシンガポールを模倣しつつも、鍵となるポイントが同国とは異なるという。シンガポールの目標は観光客誘引なのに対して、日本はカジノからの収入を目的としている。そのためカジノ運営企業は、高額の税金に直面することになる。さらに人件費も高い。

 同氏は、日本はよい市場ではあるが、「国際的カジノ運営企業が思い描くような金鉱ではないだろう」と慎重な見方を示している。

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Text by NewSphere 編集部