“無印良品”は世界に通じるコンセプト? 海外デザイナー・建築家がMUJI商品を絶賛

 カナダのトロントに、無印良品の『MUJI』が出店する。2014年12月中旬の開店を予定しており、地元からは歓迎の声があがっているようだ。扱う商品は3000種類ほど(日本では7500種類)だという。

【出店の背景】
 日本は少子高齢化のため、今後国内市場は縮小が進んでいく。そのためイオン、ユニクロなどの巨大企業が海外へと拡大中で、MUJIもそのひとつだと地元紙グローブ・アンド・メールは報じている。

 MUJIの海外店鋪は現在270店で、2013年海外の売上が占める割合は21.2% 。2016年までに30%を目指しているという。

 「海外出店に際し特別なマーケティング調査などはしない。我々はそんなことにお金は使わない。だから低価格を実現できる」と海外事業本部長の松崎暁氏は語っている。

【人気の秘訣は】
 「無印良品」とは「ノーブランドで高品質の品」という意味だ。「本当の価値だけ、余計な付加価値はなし」ということだが、この名称はある意味矛盾していると米フォーブス誌は指摘する。なぜなら、MUJIはノーブランドであることがブランドとしての地位を確立しているからだという。

 無印良品は1980年、大手スーパーマーケットのプライベートブランド商品として始まった。バブルが兆しを見せ、人々が高価な商品に走り始めた時分だ。「500円のものがブランドロゴをつければその10倍の値段で売れた時代だった」と松崎氏は言う。人々は「高いイコール質がいいはず」と考えていたのだ。そんな中「本当の価値だけを良心価格で提供できたら」と考えたのが無印良品の始まりだった、と同氏は語る。(グローブ・アンド・メール)

 MUJIの商品は、デザイナーの名前が明かされない。社員のデザイナーは給料制で、特別な報償もないという。この匿名性こそがMUJIの特徴だ。さらに、大きな宣伝をしないことについても「MUJIは控えめさが売り。国外の誰かがそれをクールだと思ってくれるかもしれないが、自分たちからは言わない」と同社の鈴木啓取締役は語っている。(フォーブス)

 既に出店しているヨーロッパやアメリカからは「他でもシンプルな商品は既にたくさんあったけれど、その上デザインもよいという品はあまりなかった」という声をいただいている、と松崎氏は言う。(グローブ・アンド・メール)

【待ちこがれる地元の声】
 グローブ・アンド・メールは「なぜデザイナー達はMUJIを愛するのか」という記事を組み、MUJIファンのカナダ人建築家やデザイナー達の声を伝えている。

 地元への進出については「カナダに出店する予定がないのか過去問い合わせたこともある」、「なぜカナダにないのか今までずっと不思議に思っていた」、「ニューヨークやヨーロッパへ行くときはいつもMUJI各店巡礼の旅に出る」、「海外出張のときにMUJIのノートを山のように買いだめしていた」といった切望論が多く、こうしたファンにとっては待ちに待った出店、といってよいだろう。

 商品についても、「デザイン民主主義とも言える、徹底したユーザー視点の商品開発」、「バウハウスの美意識にも通じるミニマリズム」と賞賛の声があがっている。ある建築家は、本当に必要な実用性のみを活かしたデザインという意味合いで「MUJI的アプローチ」なんて表現を使うこともあると語っている。

 「どれも極めてシンプルなのに驚くほど素敵なデザインは、トロントのライフスタイルにぴったりだと思う」とあるデザイナーは言う。こうした声を聞く限り、カナダ出店の先行きは明るそうだ。

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Text by NewSphere 編集部