築地市場跡地にカジノ? 米大手が意欲…日本のカジノ解禁に期待高まる
アメリカのMGMリゾーツ・インターナショナルが、東京都築地の中央卸売市場の跡地を、カジノ建設候補地の1つとして検討している、と報じられた。
ブルームバーグによると、MGMのジェームス・ミューレン最高経営責任者(CEO)は、カジノを含めた統合型リゾート(IR)建設の可能性を探るため3月に築地市場を訪れ、調査したという。
【抜群の立地】
カジノ誘致の候補地としては、これまで、都知事がお台場に関心を示してきた(ただし舛添知事は慎重な姿勢)。今回候補地として浮上した築地は、お台場よりも都心からのアクセスがよく、外国人観光客が訪れる銀座も近い。
香港の投資銀行CLSAのシニア調査アナリスト、ジェイ・デフィバウ氏によると、お台場に比べて築地は地価こそ高くなるものの、アクセスのしやすさという点でより多くの来訪者が期待できるという(ブルームバーグ)。
【地価は高いが単独の地権者】
国土交通省によると、築地市場周辺の地価は1平方メートルあたり約139万円であるが、お台場周辺は約95万6000円とのこと。
一方、お台場の開発候補地の地権者は複数に分かれているが、築地市場は都が保有している。単独の地権者だと建設はスムーズにできる、とMGMのグローバルゲーミング開発のシニアバイスプレジデント、エド・バワース氏は述べたという(ブルームバーグ)。
MGMは、IR建設には約12万平方メートルの土地が必要だと考えている。築地市場の敷地面積は23万833平方メートルで、東京ドームおよそ5つ分である。
同時に、同氏は「最終的には、都がどこに建てたいかに尽きる」とも述べている。これは、カジノの開発用地の選定は、政府/自治体が行うと想定されているためだ。
【アジアに注目する大手外資IR】
CLSAは、カジノが年間400億ドル(約4兆円)の市場を日本に創出すると予測している。カジノ運営に、国内外の企業が相次いで意欲を示しているが、中でもMGMは日本市場に勝負をかけているようだ。
『Nasdaq』によると、MGMは、ラスベガスの景気回復を受け、第2四半期に26億ドルの収益を上げ、前年度比4%の増加となった。しかし、ライバル会社であるLas Vegas SandsやWynnに後塵を拝している。世界のカジノ産業で大きな利益をたたき出すアジアで出遅れたことが背景にある。中国のマカオからの収益が全収益の3分の2以上を占めるWynnやLas Vegas Sands に対し、MGMは収益の3分の1がマカオ関連である。
劣勢を挽回すべく、MGMは日本に注目している。日本に自社チームとオフィスを立ち上げ、ブランドの知名度の高さと現地の利害関係者と協力する意思をアピールし、カジノ入札に備えている。
8月18日、日本のカジノ建設に関するブルームバーグの報道から、上昇とすると予想されていたMGMの株は、結局0.36%下落し、24.95ドルとなった、と『The Street』は報道している。