ソニー“利益8.6倍”決算に海外注目 投資家期待も、スマホ不振など懸念

 ソニーの2014年4~6月期連結決算(米国会計基準)は、税引き後利益が前年同期比約8.6倍の268億円となった。エレクトロニクス分野で前期に最終赤字に陥り、今後も最終赤字見通しが続くが、出足は好発進となった、と東洋経済オンラインは報じている。

『IGN』には同件に関して1.2万件以上のコメントが寄せられるなど、海外の関心の高さがうかがえる。

【第1四半期の決算が大幅増益】
 業績下方修正を発表したソニーだが、ゲームと映画分野で好調を維持している、と報じられている。売上高は1兆7000億円から1兆8099億円に上昇、営業利益は前年同期比約2倍の698億円だった。問題を抱えていたテレビ関連の分野でも利益を上げており、売上予測を下方修正したものの、10年連続の赤字決算に終止符を打った。

 独立系調査会社アドバンスト・リサーチ・ジャパンのアナリスト、石野雅彦氏は「投資家には良いニュース」と語る(フィナンシャル・タイムズ紙)。回復しつつある欧米市場が、PS4の売上を押し上げたという。3月までの1年で1250億円の純損失、また半年で3回にわたる業績下方修正を発表したソニーだが、今後、持続的に利益を取り戻せるのではないかという投資家の期待が高まっているという。

【スマホ事業の不振】
 一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、昨年までエレクトロニクス関連分野で最も利益を上げていたモバイル分野は、売上が伸びず営業損失となった。5月に発表した今期のスマホ販売台数計画は、5000万台から4300万台に下方修正。通期見通しを、営業利益トントンにまで計画を見直した。

 エレクトロニクス事業立て直しの中核を担うスマホ事業は、カメラやゲーム、映画を始めとするソニーの得意分野が含まれる。そのスマホ売上の伸び悩みは、エレクトロニクス事業立て直し計画の大元を揺るがすとアナリストは分析する。「市場には7~8社が競合しており、ソニーが今年中にスマホ分野で収益をあげることは難しい」と、フィッチ・レーティングスのアジア太平洋責任者のSteve Durose氏は見ている(CNBC)。近年はパソコン事業の譲渡、テレビ事業の子会社化など運営好転を図っているソニーだが、同氏は、不振の続く分野を手放し、事業のさらなるスリム化を図るべきだと指摘する。

 一方で、IDCのルイス・ワード氏は、スマホ市場でのマーケットシェアを伸ばすことは可能だとの見方だ(CNBC)。「スマホ市場は非常に難しく、ソニーの不振に不思議はない。正しい方向性を見出すことができれば、まだ可能性はある」と話す。

【海外の注目】
『IGN』には、同件の記事に関して寄せられたコメントが1,2万件以上と、非常に高い関心を呼んでいる。

・Xboxのファンだが、消費者として競争を歓迎する。
・ゲーム界において競争は良いこと。

業界での競争を歓迎する声とともに、「ソニーの独占は続くと思う」といった意見も聞かれた。

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Text by NewSphere 編集部