スカイマークだけではない、「空飛ぶホテル」のキャンセル 正念場のエアバスにも海外注目
欧州旅客機大手のエアバスは、日本の航空会社スカイマークに対して、超大型旅客機A380の購入に関する契約を解除すると伝えた。
エアバス側は、スカイマークとの話し合いを続けてきたが、契約上の義務をスカイマークが果たさないことが明白となったので、契約を解除したと発表。今後、あらゆる権利と手段を行使するとコメントし、損害賠償訴訟の可能性を示した。
【経緯】
A380は、「空飛ぶホテル」といわれる程、豪華な設備を備えた世界最大の旅客機。2階建てで、500人以上を運ぶことができる。
スカイマークは、2011年にエアバスからA380を6機購入する契約を交わし、2014年10年から順次受け取る予定だった。しかし、円安による機体価格の上昇、燃料費の高騰、格安航空会社との競争激化により、購入が難しくなった。
そのため、エアバスに対し今年4月に、2機の導入を先延ばしし、残り4機をキャンセルするよう、契約の変更を願い出た。そのためエアバスは、契約変更の条件として、スカイマークが大手航空会社の傘下に入ることを求めたとスカイマークは説明している。その条件をスカイマーク側が拒否したため、契約解除となった。しかし、エアバスは、「大手航空会社の傘下に入ることを要求した」ことは事実ではないと否定している。
【すでにペイント済みの機体の引き取り先は?】
海外紙は、スカイマーク用に製造、組み立てられた機体を再販するのは、非常に難しいとみている。すでに2機の組み立てが完了しており、そのうち1機は、スカイマークの黄色い星マークがペイントされているという。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙とブルームバーグは、リース会社のアメデオが2月にA380を20機購入する契約をしたが、レンタル先の航空会社をいまだに見つけられていないことを掲載。エアバスに限らず、A380の新しい顧客を探すことの難しさを指摘している。
【超大型旅客機販売の難しさ】
エアバスには、A380に対するキャンセルが相次いでいる。A380 の顧客であるドイツのルフトハンザ航空は、新たな購入予約を取り消した。英国のバージンアトランティック航空も、予定していた6機の購入を無期限に先送りすると発表している。
エアバスのスポークスマンによると、A380は最もコスト効率が良く、日本やイギリスのように受け入れ能力が限られている空港にとっては魅力的であるという。しかし、機体価格が航空会社にプレーキをかけているようだ。
この2年間、エアバスはA380の新しい顧客を獲得できていない。ドバイを拠点とし、成長著しいエミレーツ航空の購入に頼り切っているのが実情だ。エミレーツ航空は、140機を購入予定だという。現在、A380は利益を生み出しておらず、配備するたびに損失が出ている状況だ。エアバスは、2015年にはこの状況を食い止めたいとしており、そのためには、年間30機のペースでA380を新規に配備する必要がある。
スカイマークだけでなく、エアバスにとっても正念場のようだ。