新生ウォークマン「ZX1」に注目する海外メディア ハイレゾ音源で世界を変えられるか

 1979年のデビューから35年目を迎えるソニーのウォークマンが、超高音質音楽プレイヤー「ZX1」として復活を遂げた。複数の海外メディアが同製品に注目する記事を掲載している。

【売りは音質の良さ】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、ZX1は重い音楽ファイル(業界でハイレゾリューションオーディオ=ハイレゾ音源と呼ばれる)を、オリジナルの記録からそれほど音楽データを失うことなしに再生、保存、転送できるという。

 同紙はソニーの平井一夫社長の「今の世代全体が、非圧縮オーディオの音を聞いたときの湧き上がる感情を経験していない」という言葉を紹介している。このハイレゾ音楽ファイル(WAVやAIFFといったリニアPCM方式やDSDフォーマットなど)が、低音から高音、そして歌手の息づかいに至るまで、CDを上回る音質を提供するという。

【価格、仕様】
 価格は高級品らしく7万1130円。アップルのiPodと異なり、ボディーは重くて分厚い。128ギガバイトのメモリーを内蔵し、ノイズを防ぐために1台1台を高価なアルミニウムの塊から削り出しているという。AAC (a lossy file format)、FLAC(Free Lossless Audio Codec)、MP3、WMAといったフォーマットもサポートしている。

 なお、『Tech Hive』によれば、増設SDカードスロットは付いておらず、アンドロイド4.1をOSに採用している。

 また、『PC Magazine』によると、ただの音楽プレーヤーとして以外に、4インチタッチスクリーンの操作で写真の保存・展示ができ、解像度854×480のTFTディスプレーでビデオ再生も可能という。

【売れ行きは】
 日本では昨年12月に店頭に並ぶと、すぐに売り切れたという。2月以降、欧州やアジアでも発売されているが、米国での発売日は決まっていない。

 ソニーは売り上げの数字を公表していないが、ZX1は依然としてニッチな製品にとどまっており、ウォール紙は、日本でのこれまでの販売台数が数千台にとどまるとのアナリストの見方を紹介している。

【異論】
 『Computerworld』は、普通の人でもCDとMP3の音の違いは分かるが、ある程度の高音質音源同士でのサンプリング周波数やビットレートの違いとなると別だという、専門家の見方を紹介している。しかも、ウォークマンはモバイル機であり、静かな部屋で聞き分けられる音の違いがあるとしても、屋外では高性能ヘッドフォンを使っても無理だろうという。

【競合は】
 アメリカでは10月に、ロック界のカリスマであるニール・ヤングの押す「PonoPlayer」が発売される予定である。FLACフォーマットをサポートし、128ギガバイトというメモリー容量も同じだが、価格は約4万円だという。

 『Tech Hive』はZX1がアメリカでも発売され、PonoPlayerが出揃うまでは「買い」ではないと述べている。

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Text by NewSphere 編集部