上場申請LINE、「クッキーラン」等ゲームが“金のなる木”と海外分析
オーブンから逃げ出したジンジャークッキーの人形が主人公のゲーム『クッキーラン』がアジア各国で大流行している。『Line』等、様々なメッセージ・サービス・アプリと連動しており、日本、台湾、タイ、韓国ではダウンロード数トップとなった。
【クッキーランの成功】
『ClickZ』が伝えるところによると、昨年4月のデビュー以来、クッキーランはアジア全体で5200万件ダウンロードされている。特に韓国では人気で、スマートフォンの2台に1台の割合でダウンロードされていることになるという。
開発会社『Devsisters』は従業員30人未満の小規模なスタジオだったが、昨年は6000万ドルを売上げ、1000万ドルの営業利益を上げた。今年も最初の四半期で既に2000万ドルを売上げており、株式の上場も準備中、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。また、Lineにとっては、タイでの成功は「日本国外ではユーザーベースで大した収益がない」との批判に対する回答を提供するものとなった。
【アメリカは傍観、中国は参入か】
クッキーランの売上は、AppleまたはGoogleに1/3が支払われ、その残額の30~50%がメッセージ・サービス提供会社の取り分となる。
ClickZは、アメリカのモバイル・マーケティング会社のディレクター、ファレル氏による説明を掲載している。曰く、これらのメッセージ・サービスは膨大なユーザーを基礎に持つ。ゲーム開発者にとっては、さらに多くのユーザーにゲームを提供できるようになるため、収益の一部を没収されるだけの価値がある。
しかし、アメリカではこのようなビジネスモデルは導入されておらず、ファレル氏は『WhatsApp』(アメリカの主要なメッセージ・サービス)は一つの事柄に特化する傾向があるので「この道を行くとは思えない」と述べている。
一方、アジアのメッセージ・サービス企業にとっては、ゲームは「金のなる木」だ。ある中国企業がKakao Talkで1000万件を超えてダウンロードされている人気ゲームの開発会社を買収にかかっている、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。
【タイではゲームによる巨額請求問題が】
モバイル・ゲームの普及は、一方では、巨額の請求という問題を引き起こしている。
『Bangkok Post』の報道によると、母親のスマートフォンでクッキーランをプレイした12歳の子供が、知らずに有料アイテムを購入したため請求が20万バーツ(約63万円)に達するという事件が起こった。この母親は、1000バーツの上限を設定していたが、コンテンツやアプリの購入は通信料とは別枠となっていたため、制限がかからなかったようだ。このような事件が多数起こっているという。
これを受けて、タイの国家放送通信委員会は通信事業者にモバイルコンテンツとアプリの購入を制限し、上限を超えそうなユーザーには警告メッセージを送るよう指導した。また、消費者保護委員会事務局はモバイルゲームの年齢制限を検討中だという。