ブラジルW杯の陰の立役者、古河電工 先見性のある中南米展開に現地メディアも注目

 2014FIFAワールドカップはブラジルの12のサッカースタジアムで試合が行われているが、その内の10のサッカースタジアムに古河電工の最新の光ファイバーケーブルが使われている。連日、世界のサッカーファンが試合の模様をライブで観戦しているが、陰では同社の製品が大活躍している。

【古河電工の陰の貢献】
 フォルタレザ市にあるカステロンサッカースタジアムには競技グランド、観客席、報道陣席など1500ヶ所のアクセス•ポイントを繋ぐ為に延長102kmの銅線と12kmの完全ドライ化されたルースチューブ型の光ファイバーが使用されている。そして入出力回線は40-110Gb、接続回線10Gbを有し、高精細度テレビ放送、Wi-Fiシステム、頻度の高い電話回線、音声コントロールなど古河電工の最新の技術力を駆使した設備で世界にこの大会の模様が報道されている、とアルゼンチンの経済誌マサランが報じている。

 また同誌は、ブラシルの主要な空港や港で、飛行機や船を安全に運航させるための通信上のインフラ整備にも、同社の設備が導入されていることにも言及している。

【古河電工の中南米における発展 】
 古河電工は将来の中南米市場の躍進を見通して、1974年にブラシルに進出し、1977年より当時の最新の銅線をブラジルのクリチバ市で生産を開始している。アルゼンチンの経済誌エル•エコノミストによると、古河電工ブラジルの成長は、例えば2000年の年商はその前年の2倍になり3億5750万ドルを達成している。従業員は現在1100名を数え、ラテンアメリカでのケーブルの生産販売ではリーダーとなっている、と報じている。

 またアルゼンチンのエネルギー情報誌ペトロキミカによると、古河電工は中南米の市場を完全に制覇すべく、5年前にはアルゼンチンで光ファイバーの生産を開始し、年間25000kmの光ファイバーを現在生産販売している。そして今年からコロンビアで500万ドルを投資して生産を始めることになっている、と報じている。

【中南米の太平洋同盟と南米南部共同市場】
 古河電工の中南米における戦略は貿易の自由化を促進する為に出来上がった太平洋同盟を構成するメキシコ、コロンビア、ペルー、チリ、コスタ・リカと南米南部共同市場を構成するベネズエラ、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ、アルゼンチンの10ヶ国の市場を制覇する為の戦略的な進出なのである。

 即ちブラシル、アルゼンチン、コロンビアと3ヶ所に生産と販売の拠点を築き上げて、この10ヶ国内において世界でトップレベルの品質の商品を生産している現地企業として、この2つの貿易共同体の存在を活用して販売の伸展を計っているのである。

 そしてそれを支える技術面においても古河電工の中南米における国際技術支援部門のトップであるルイス•エンリケ・ジメルマン氏はスペインのデーターセンター・ダイナミックス誌の中で、「我々の挑戦は多種多用な要求に対応し、技術分野における高度な発展に即応出来る能力を備えていることである」と述べている。

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Text by NewSphere 編集部