米国のLINEスタンプは”セリフつき” 国によって違うLINEスタンプの戦略とは
LINEの登録ユーザーは4億3000万人となり、国内外でのスタンプや関連商品の販売が好調だ。今後西洋文化圏への市場拡大を狙う。海外メディアは海外市場進出への可能性と障害を論じている。
【アジア圏における人気】
韓国のコリア・ヘラルド紙は、LINEが4月に韓国の明洞にストアをオープン、フロア内店舗で最大の売上を記録した、と報じた。シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタでもストア展開をしている。LINEによると、4月末のシンガポール店オープニングには100人ほどが列を作った。
LINEは4億3000万人の登録ユーザーを持ち、市場はアジア地域に集中している。フォーブスによると、LINEオリジナルのスタンプは1日に18億個が送信されている。ディズニーやハローキティとのコラボスタンプや、LINEオリジナルのキャラクターであるクマのブラウンとウサギのコ二ーのロマンスは、本やアニメになるほどの人気を得ている。
2013年にはスタンプの売上が全利益の20%となり、競合企業の中でゲーム以外での月収でトップとなった。今年度はさらに1億4000万ドル(142億円)の売上を予想しているという。
【スタンプの利便性】
ソーシャルメディアのガイドを執筆している森嶋良子氏は、スマートフォンを使っての日本語メッセージ入力は面倒で、スタンプを使うことで簡単に早くメッセージを作成できる、とニューヨーク・タイムズ紙に話した。またスタンプを使うことによって利用者は直接的に感情表現できる。例えば同僚からの誘いをクマのキャラクターが断わる方が、相手の気分を害さずに自分も断わりやすい、と指摘した。
情報プラットフォーム『Speeda』のアナリストは、「LINEはコミュニケーション基盤の一部となった」指摘する。「今後はさらなる利用者の確保と、LINEの新しいメッセージングの形を普及するために世界的に競合していくことになる」、とした。
【アメリカへの市場拡大】
スタンプ仲介業者のEvan Wray氏は、スタンプ市場は今年末までに20億ドルの世界的市場になると予測する。流行は西洋に広がりLINEやWeChatの利用者は2014年末までには20億人に倍増すると見ている。
一方ニューヨーク・タイムズ紙は対照的な見解を取り上げている。ベンチャーキャピタルのVersion One Ventures創設者ボリス・ワーツ氏は、「アジアのプラットフォームは非常に深く、豊富な内容に進化してきた。一方で豊富な内容は文化を超えての浸透は難しい」、と指摘した。
現在LINEスタンプのデザインは、スタンプ企画チーム・マネージャー渡辺尚誠氏率いる、少数精鋭のチームによる。LINEによると、市場に流通している言葉、習慣、俗語を苦心して研究した成果によってスタンプが生み出されている。
渡辺氏によると、アメリカでのユーザーは誤解されることのない直接的なスタンプを好むので、わかりやすい笑顔や、“すごいね”“やったね”などのキャプションつきのスタンプが多い。対照的に日本では笑顔、半笑い、薄笑いのキャラクターのスタンプなどがあるという。アメリカ人に理由を聞かれて渡辺氏は「理由を言葉で説明するのは難しい。だからスタンプを使う」とコメントした。
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