バーバリー、日本市場に注力 ライセンス契約から直営に切り替え…新CEOの手腕に英紙期待か
5月1日より新最高経営責任者(CEO)に就任したクリストファー・ベイリー氏は、今後バーバリーの新しい一章が始まるとした。世界第二位の高級品市場である日本と、バーバリーのビューティー部門における成長の可能性に焦点を当てて、今後の事業成長を目指すという。海外メディアが企業の動向を報じた。
【バーバリー業績と今後の動向】
フィナンシャル・タイムズ紙によると、バーバリーは昨年香水ブランドを確立した影響もあり、3月までの1年で純利益が4億2800万ポンド(733億円)から4億6100万ポンド(789億円)に増加した。全体で17%売上増の23億ポンド(3940億円)となった。
ビューティー部門を、マージンの高いライセンス契約から直接運営に変換したことによる影響が大きいとし、ベイリーCEOもそこに事業成長の可能性を見ている。日本でも、2015年6月にはアパレル大手の三陽商会とのライセンス契約が終了し、今後は国内14店舗を直接運営してくことになる。
小規模な卸売業も含む日本での事業は、年間2500万ポンド(42億8000万円)の売上を出し、過去2年間好調な売上を見せているという。一方で、「世界での売り上げの10%を占める日本市場での戦略が充分ではない」と、アジア太平洋部門のパスカル・ペリエCEOはコメントした。
今後は東京、大阪を主に店舖を倍に増やすことによって、2017年までに日本での売上を1億ポンド(171億円)まで引き上げることを目標としている。また、2015年末までに260億ポンド(4兆4000億円)のスキンケア市場にも参入したい考えを示した。
【新CEOと企業の成長幅】
昨年10月に、10年以上バーバリーのトップに立っていたアンジェラ・アーレンツ元CEOがアップル上級副社長に転身すると発表後、5月1日にベイリーCEOが引き継ぐ流れとなった。今後は日本市場とビューティー部門における可能性を基盤に、事業成長を図ることを発表した。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、投資家の中にはベイリー氏のCEOとクリエイティブディレクターの兼任や、重役経験の不足を懸念する見方もある、と報じている。ベイリーCEOは、「自分の役割は型にとらわれないでいることであり、いわゆる伝統的なCEOではない。自分のやり方でバーバリーを導いていく」と発言した。
【懸念要因と方向性の評価】
フィナンシャル・タイムズ紙によると、ベイリーCEOは今後の懸念材料となる、「マクロ経済における不確定要素と通貨における逆風は充分理解している」、とした。また最高財務責任者(CFO)キャロル・フェアウェザー氏も、為替レート変動の影響が逆風になるだろうと言及している。ベイリーCEOは、今後も通貨が現状に留まるようであれば、小売や卸売業は4000万ポンド(68億円)減益の可能性があると警告した。
ザ・ガーディアンによると、ハーグリーブスランズダウン株式仲買人のリチャード・ハンター氏は企業の方向性を評価した上で、「今後バーバリーの見通しを注意深く見守る」意向を述べた。一方でExane BNPパリバのアナリストは、一連の動きを応急処置的であると批判している。また英調査会社コンルミノのアナリストは、「日本での進展はベイリー氏指導下における、バーバリーの業績を左右する重要なカギ」と位置付けた。
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