世界が狙う日本の航空産業 エアアジアなど5社、新規参入へ
日本でLCC(格安航空会社)の運行が開始されてから、3年目に入った。
マレーシアのLCC、エアアジアのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は10日、2015年に日本の航空市場に再参入する考えを明らかにした。拠点空港は名古屋になるとみられている。
同社は、12年にANAと合弁でエアアジア・ジャパンを就航させたが、昨年合弁を解消し撤退していた。なおエアアジア・ジャパンは現在バニラエアとして就航している。
【自信満々のエアアジア】
フェルナンデス氏は、「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」などということはなかったようだ、とCNBCが報じている。フェルナンデス氏は、「シーザー(元ローマ皇帝カエサル)のように必ず戻ってくる」と、自信を見せている。「新しい会社は―――私はいまだに信じ、はっきりと主張するが―――おそらくエアアジアグループ会社の中で最も利益を生む組織となるだろう」と、新エアアジア・ジャパンの経営に自信をみせている。
以前、拠点空港やウェブサイトの構成などについてANAと意見の不一致で合弁を解消した経験から、今回はやり方を変えて望むようだ。「同じ考え方をより共有できる相手を探している」が、「当社は既にひとつの船の船長を務めている。ふたつの航空会社があれば、物事の進め方についてそれぞれの考えがあるのが当然だろう」とCNBCのインタビューに答えている。
フェルナンデス氏はインドでの事業拡大にも苦労していると同メディアは報じる。「航空事業は、とても国家主義的傾向が強く規制に縛られた特異な分野だ」と語っている。
【LCC事業、競争激化は必至】
ピーチ航空は今年3月、ジェットスター航空も7月に創業3年の節目を迎える。航空メディアCAPAは、LCCが日本政府の推進している訪日客増加を実現するだけではなく、国内において確実な空の足として機能しているようだ、と報じている。
実際、2013年3月から9ヶ月で国内航空の旅行者17%がLCCを利用し、2014年は最初の3ヶ月間で24%が利用したという(OAG)。航空市場全体の4分の1の席数を占める数字だ。
日本でのLCC事業拡大はなかなか進まない、失敗もあった、しかし成長はほぼ約束されている、と同メディアはみている。ANAや日本航空(JAL)が国内線の席数を減らしている一方で、LCC各社は席数を増加している。
今後、エアアジアの他にも中国の春秋航空など5社が日本市場に新規参入予定だ。既存の3社と共に競争の激化が予想される。各社は、日本では航空会社は潰れないというジンクスに挑むことになるだろうが、その際合弁というのは有効な手だろう、とCAPAはみている。
しかし、より重要なことは、評価が高い伝統的なサービスが経済的な目標に置き換えられたと利用者に思われる前に、無駄な足かせをせず努力を続けることだ、との忠告も添えている。
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