復活パナソニック、売上10兆円目標掲げる 海外紙は津賀社長のリーダーシップを評価

 2年連続で深刻な赤字に陥っていたパナソニックが復調してきた。もう一度利益を出せる会社になるべく、社内を挙げて取り組んだ構造改革が実を結びつつあるとして、海外メディアも注目している。

【赤字脱却を目指し構造改革へ】
 フィナンシャル・タイムズ紙によれば、パナソニックは他のアジア諸国との低価格競争や円高で、国際競争力を失っていたところに、電池やテレビの価格の下落、同業者サンヨーの買収が加わり、経営がさらに悪化していた。2012年度には3980億円の税引き前損失を計上している。

 しかし2013年度、パナソニックは売上高7兆4000億円、営業利益は2700億円を見込み、2014年度には売上高7兆7500億円、営業利益3100億円を目指すまでに回復してきた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今回の業績改善の理由として、円安効果をあげた。さらに、利益の出ない家電等を削減し、事業の再編を進めた、津賀一宏社長のリーダーシップをあげている。

 津賀社長は、2015年3月までの2年間に構造改革費用として3000億円を計上。不振の事業を見直して赤字から脱却を図る。プラズマディスプレイ・パネルの製造を終了し、半導体チップを製造する施設を売却、個人向け市場でのスマートフォンの開発から撤退し、経費削減に努めた。

【自動車用電池に大型投資?】
 パナソニックが従来の家電に代わって力を入れたのが、自動車、住宅関連ビジネスだ。特に電気自動車に使われるリチウムイオン電池は、日本のみならず欧米でも需要が高いという。

 パナソニックは、既に米国のテスラモーターズに、2017年までに20億個の電池セルを供給する契約を結んでいる。テスラが米国で建設を計画している、世界最大のバッテリー工場への出資の話も出ているという。

 ブルームバーグによれば、この「ギガファクトリー」建設には50億ドルが必要で、テスラはパナソニックの出資を望んでいるという。しかし構造改革中のパナソニックは、リスクが高いとして、明確に出資を表明してはいない。電池に関しては、テスラはパナソニックに大きく頼っており、パナソニックの参加なしでは、新工場は問題を抱えることになると専門家は指摘している。

 一方、津賀社長は、「この時点で投資態度をお知らせすることはできない」としながらも、新工場用のテスラのビジョンに合うバッテリー開発に取り組んでいきたい、と前向きなコメントを残している(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。

【目指すは10兆円】
 同紙によれば、津賀社長は「過去と決別し、利益の出るビジネスに焦点を合わせ、成長の可能性を持つ地域やビジネスに財政的資源を配分していく」とし、以前からの目標であった売上高10兆円の目標を「どんなことがあっても」5年後に達成すると述べた。

 この野心的目標が本当に達成されるのか?今後の動きに海外各紙も注目している。

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Text by NewSphere 編集部