日本の地熱発電のポテンシャルに企業が注目 海外メディア“温泉は大丈夫?”
日本初の地熱発電所建設から15年を経て、来月、熊本県に新しい地熱発電所が運用を開始する。日本では、地熱発電のポテンシャルに注目した企業が、着々と地熱エネルギー分野での事業を進めている。一方で、日本の文化が損なわれる可能性もあるという声もあがっているようである。
【日本の地熱発電、代替エネルギーとして期待?】
テレグラフ紙によれば、温泉と火山活動で有名な熊本県で運用が始まる地熱発電所は、中央電力株式会社によって立案されたものである。同社は、地熱活動による事業のための会社を設立し、今後5年以内に新たな地熱発電所5基を建設する予定である。中央電力は、このような小規模な地熱発電所の建設は、地熱発電所を今後拡大していく上で、カギとなるものであると同時に、地方のコミュニティーに新しい活力を与えるものである、と述べている。
今後、多くの企業が地熱プロジェクトを立ち上げていきそうである、と同紙は報道している。例えば、東芝とオリックスの共同地熱発電事業がその例である。東芝とオリックスは、昨年11月に、共同で地熱発電会社を設立し、来年には初めてのプロジェクトを、岐阜県の温泉が盛んな地域で始める予定である。
『here&Now』によれば、日本地熱協会の安達正畝氏は、太陽光発電や風力発電といった他の再生可能エネルギーと比べて、地熱発電は一定のエネルギーを得ることができ、またそれを予測していくことが可能である、と地熱発電の特徴を述べている。また同氏は、「大きな地震の後で、私たち日本人は皆、日本には地熱発電のための大変大きなポテンシャルがあるということを知っています。そのための技術もすでに持っています。ですから、地熱発電をめぐる状況というのは変わってきているのです」と述べている
【地熱発電が栄えることで悪影響を受ける産業も?】
しかし、一方で問題もある。地熱貯留層に到達するために穴をあけるというのは、人々に愛されている温泉を壊してしまうのでは、という声もあるのだ。
『here&Now』によれば、日本温泉協会の布山裕一事務局長は、温泉は日本における文化的伝統である、と述べたうえで、「温泉には大変長い歴史があります。日本の気候はとても湿気が多く暑いので、人々は温泉に行くのが好きなのです。また、想像できますように、昔はお湯を沸かすのが大変でした。日本中に温泉があるというのは、自然からの恵みなのです」とコメントし、日本人と温泉との関係を説明した。同氏によれば、日本には約13000の温泉旅館があるが、地熱発電の開発により、温泉の源が損害を受けるのではないかという不安の声がある。
同氏は、「日本におけるほとんどの温泉は、火山作用によるものです。ですから、地熱発電と温泉は同じ資源を使っているのです」、「問題は、地熱発電所は温泉の近くに建築されるであろうということなのです」とコメントしている。
一方で、安達氏によれば、地熱発電により温泉が被害を受けることはない。同氏は、「温泉業界の人々は、地質学や、地下の状態に関しては知りません。地熱産業においては、地下の状態を理解してから事業を始めるのです。だから、温泉に損害を与えることなく地熱発電所を建設することができるのです」とコメントしている。
【日本の地熱発電の技術を活かす】
また、海外で日本の地熱エネルギー技術を活かそうという取り組みもある。例えば、『スタンダード・デジタル』によれば、ケニアでは地熱エネルギー開発の援助のため、日本の専門家が同国を訪れている。例えば、2月23日にケニアに到着した日本の専門家によるチームはメネンガイ火山を訪れ、ケニアの地熱エネルギー開発支援に繋げる予定である。
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