ゲームで医療費抑制? 太鼓の達人、キネクト…日本の高齢者向けゲーム開発に海外も期待

 2004年、ゲームセンターやテーマパーク等の アミューズメント事業を運営する日本の企業ナムコは、大ヒットゲーム「太鼓の達人」を高齢者のリハビリ用に制作し直し、同年11月中旬から病院やデイサービスセンター向けに販売したことが日本のメディアで取り上げられ、話題になった。

 今日、日本は世界に先駆け超高齢化社会を迎え、現代にマッチした社会基盤構築の必要性に迫られており、このゲームが再び海外メディアで脚光を浴び始めている。

【日本の高齢者、「太鼓の達人」を楽しむ】
 AFP通信は、横浜で介護施設を運営する「カイカヤ」の社長が同施設について「高齢者が一日中楽しむことができるような娯楽施設を提供している。平均年齢85歳のビジターはヘルパーつきの入浴、理学療法、昼食、ゲームを楽しんでいる。特にゲームを十分に楽しんでいるようだ。」と述べた記事を掲載した。

 「ドキドキ蛇退治Ⅱ」はナムコバンダイが九州大学病院と共同で開発したものだ。座ったままで飛び出す蛇の頭をたたくことができる。スタッフは大会を開催するなど、高齢者のモチベーションを上げるのに様々に工夫を凝らしている。

【ゲームによる医療費抑制効果は期待できるか】
 このゲームの開発に携わった九州大学の医師等はこのゲームについて「足や腰回りの筋肉を鍛え、転倒の予防になる。大脳の血流を促進し、認知症の予防にもなる。社会から隔絶され家の中に閉じこもりがちな高齢者の精神状態を活発にする効果がある。退屈なリハビリを続けるのにも役立つ」としている。またXbox用に開発された「キネクト」は筋力の強化、柔軟性の改善に役立っている。

 京都新聞によると、京都大学のグループが「キネクト」を使い、頭と体で楽しめるパズルゲームを開発。開発グループは、「65歳以上がゲームを週1回に5分間、3カ月にわたって続けると、先を考えて目的を達成する力に加え、脚力やバランス力が改善する」ことを確認したという。

 東北福祉大の佐藤准教授は「高齢化社会を迎え、日本の中小都市ではリハビリを行える人材の不足、またその費用が問題になってきている。これらのゲームソフトは運動を楽しめるよう、高齢者の動機づけとなっているだけでなく、理学療法士による指導がなくても正しい方法でリハビリを行える」とこれら家庭用ゲームソフトを評価している。

 九州大学等では、今後3年間でさらに新しいソフトの開発を目指している。任天堂もヘルスケア産業への参入により、低迷する売り上げの押し上げを目指すと1月に発表した。

 AFP通信は最後に「これらのソフトウェアが、日本の医療費の雪ダルマ式な増大を抑制する効果があると期待している」との佐藤准教授の言葉を紹介している。

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Text by NewSphere 編集部