LCC対決激化、さらなる値下げの可能性も? エアアジア対ジェットスターに海外も注目
LCC(格安航空会社)を中心とした航空料金の価格競争は、ますます過熱の一途をたどっている。ここ10年ほどの間、低価格を武器に新興のLCC各社が既存の航空会社の顧客を奪い取ってきたが、昨今、市場が飽和するに至り、LCC同士が激しく争う局面に移っているという。一方、日本においては新興航空会社の祖であるスカイマークの経営が正念場に立つなど、業界の勢力図はめまぐるしく変化しているようだ。
【エアアジア vs. ジェットスター】
海外紙「ジ・エイジ」は、アジアにおいてマレーシアのエアアジアとオーストラリアのジェットスターの競争が激化している様子を伝えている。記事によると、エアアジアはジェットスターの牙城であったオーストラリアへの攻勢を強めており、関連会社のエアアジアXがバンコク-オーストラリア路線を今年中に就航する予定だ。さらに、エアアジアがインドネシアに新規設立したインドネシア・エアアジアXも、需要の高いバリ-オーストラリア路線に食指を伸ばしている。インドネシアは拠点としてのコストが低く、新設LCCが低コストを武器に更に運賃を値下げする可能性があると航空市場アナリストは指摘している。
【価格競争を妨げる要因はコスト高】
LCCの運賃引き下げの障害としては空港使用料を含む様々なコスト高が挙げられる。空港の発着枠に空きがなかったり、枠自体があっても、その割り当てによっては不便な時間帯の運航を強いられるという不利益もある。シドニー空港は市街地に近い便利な空港ではあるが、その利便性故に発着枠の割り当てを得ることが難しく、コスト高につながっているという。
【日本での価格競争は「西高東低」からの脱却がカギになる】
一方、日本のLCCの価格競争には更なる障害が待ち構えている。機体や燃料などはドル建てて支払うため、円安が進むとコストが嵩むことになる。現状では、関西で躍進を続けるピーチ・アビエーションに対して、関東のバニラ・エアとジェットスター・ジャパンが苦戦するという構図となっている、とSankeiBizは報じる。
ここに、新規に設立された中国系の春秋航空日本が参入する。同社は、親会社である春秋航空の日本国内での乗り継ぎ需要を取り込むべく、成田空港を拠点としている。一方で、これを迎え撃つ既存のジェットスター・ジャパンは那覇空港を第2拠点とし、アジアを視野に入れている。日本の既存の大手航空会社、スカイマークなどの新興航空会社、そして古株のLCCに新顔のLCCと、日本のLCCを取り巻く状況は複雑だが、既存LCCによる西高東低の図式からの脱却が、更なる価格競争のカギとなるであろう。