メガバンク3行、大幅増益 それでも残る不安を海外紙が指摘
4日、三菱UFJフィナンシャルグループは10~12月期の連結純利益が2552億円で、前年同期の2420億円から5.5%増となったと報告した。ブルームバーグが調べたアナリスト予想平均は2000億円に過ぎなかった。4月からの9ヶ月累積では48%増の7854億円で、すでに通期予想9100億円(これも11月に7600億円から上方修正)の86%を消化したことになる。
三菱UFJは、金融危機時に発行していた自社の優先株式3900億円を、4月に買い戻し消却すると表明するに至っている。
他の日本三大メガバンクも、三井住友フィナンシャルグループが9ヶ月で7047.1億円(28%増)、暴力団不正融資スキャンダルに揺れたみずほフィナンシャルグループさえも5631.4億円(44%増)を、すでに報告している。通期予想はそれぞれ7500億円と6000億円で、消化率はともにほぼ94%に達する。ただし両行は10~12月期に限れば減益で、それぞれ1990億円(9.3%減)・1334億円(36%減)となっている。
【融資と株の好調】
各紙は国内融資の拡大のほか、株式市場の好調により、株取引による収入と仲買手数料収入が増加したことが主因と報じている。三菱UFJは10~12月期の純利息収入(融資で得た利子と預金に支払った利子の差)は4852億円で、前年同期比12%増であった。手数料収入も14%増の2782億円であった。また、9ヶ月で株式関連投資により627億円を得たが、前年は909億円の損失であった。
それに対し、国債その他の有価証券取引による収入は680億円で、15%減であった。専門家は、前年はむしろ国債の利益で株の減収分を埋めていたものが、今年は逆転したと評している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、各行はすでに国債への投資配分を大幅に減らしていた。理由は「長期金利上昇に対する安全対策」とのみ説明されているが、日銀は国債大量購入によって金融緩和と同時に国債のうまみを減らし、投資を株式などに誘導する政策を採っている。
【今後の見通しには不安も】
各紙は融資需要が拡大した理由を、サントリーの米ジムビーム買収や三菱UFJ自身のタイ・アユタヤ銀行買収など、設備投資よりも買収・合併活動の活発化と分析している。ウォール紙によると銀行幹部らは、政府の経済政策が企業に設備投資を促しているかどうか、判断は時期尚早だと見ている。また銀行間の融資競争が熾烈なため利下げ合戦の状態にあり、融資による儲けは先細り傾向にあるようだ。
またブルームバーグは、中国の製造業の成長鈍化が世界的な景気減速のきっかけになるとの懸念により、株価高騰が収まりつつあることも懸念材料だと指摘する。