60%の中国企業幹部、「日本企業と取引できない」
8日に発表された世論調査によると、中国企業の幹部のうち60%が、日中関係悪化のため、日本企業とは取引ができないと回答したという。調査は、日経新聞、韓国の「Maeli Business」紙、および中国のグローバル・タイムズ紙が共同で、昨年12月、安倍首相の靖国参拝前に実施した。AFP通信が報じた。日中間の政治的緊張が日本企業の将来に暗い影を落としている。
【靖国参拝の影響は?】
安倍首相の靖国参拝に最も衝撃を受けたのは、中国市場に大きく依存している日本企業であろう、と中国の情報サイト「Jing Daily」は指摘している。2012年秋の反日デモの際は、激怒したデモ隊が多くの日本車に火をつけた。青島では、ホンダやトヨタの販売店が焼討ちにあった。混乱が収束した後も、日本製品ボイコットのため、自動車会社は中国で初めて年間売上の減少を記録した。
【好調な自動車企業の先行きは?】
ただ、2013年の自動車各社の年間売上を見ると、最悪の事態は過ぎ去ったかに見える。
中国販売台数で日本メーカーのトップである日産自動車は、2013年初頭から11月末までの販売台数が前年同期比13%増の113万台となった。ホンダは、2013年の中国販売台数が前年比26%増の75万6882台となった。さらに、トヨタ自動車は、2014年の中国販売見通しを110万台以上とした、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。2013年の91万7500台から約20%増である。
なお、各社の幹部は、靖国神社の参拝について、大きな影響は見られていないと述べた、と同紙は報じている。
【懸念の声も】
日本の自動車各社は、販売が好調な中国市場に対して楽観的な見方を強めているが、今後の見通しに暗い影を指摘する声もある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、日中間の政治的な緊張悪化に加え、中国メーカーや欧米勢などとの競争も激化しているという。
米フォード・モーターは中国への参入が遅かったものの、昨年の中国販売台数が49%増の93万5813台と、トヨタを追い越した。シェアを伸ばすため、急成長する中国内陸部の都市に注目する自動車メーカーも増えているという。これらの都市には多くの潜在顧客が存在するが、反日感情の強い地域でもある。日本の象徴と捉えられている「日本車は標的になりやすい」と同紙は伝えている。