“打倒韓国”で日中企業協力も LNGタンカー建造競争

 アジアにおけるLNG(天然液化ガス)の需要が大幅に伸び、北米からの輸出がブームを迎える中、日本と中国は、LNG輸送船市場でマーケットリーダーである韓国を追いかけている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、2009年以降、韓国企業はLNGタンカー100隻を建造したのに対し、中国企業は20隻、日本は13隻であったという。

【中国は韓国を追い上げることができるのか?】
 中国は自国のLNG需要を満たすため、2020年までにLNGタンカーが60隻必要となるだろう、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報道している。ただ、LNGタンカーの造船には特殊な技術が必要である。IHS Maritime のアナリストは「現在、中国のほとんどの造船業者には、最新のタンカー造船に必要な技術と品質管理が欠けている」と述べている。

 しかし中国の造船業者は、政府からの支援と、日本企業との提携を通じ、急速に技術を身につけているという。川崎重工業は中国遠洋運輸との提携を拡大し、LNGタンカーの建造に着手すると発表。また商船三井は4月、上海東部でLNGタンカーを6隻造船するという、約15億ドル規模を受注。両社は2011年にも、エクソン・モービルがオーストラリアとパプア・ニューギニアで製造したLNGを中国に運送するための船舶4隻を造船する契約を受注していた。

【日本の造船業界の状況は?】
 ニュースサイト「OilPrice」によると、日本の大手船舶輸送会社は、2020年までに、総額1.8兆円(176.1億ドル)に上る90隻の新しいLNGタンカーを発注する予定であるという。同メディアは、2011年の東北大震災以降、原子力に代わるエネルギー資源の一つとして、天然ガスが注目されていると報じた。

 LNG取引は、2020年までに毎年400万トン増加すると予想されている。アジアにおいて、LNG需要が大幅に増加すると見込まれていることが背景にある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、LNG造船最大手である三菱重工は、今治造船と提携して、年間8隻のLNG輸送船の造船計画を発表した。同紙はまた、日本の造船業界の再編により、購買力が改善され、技術的なノウハウの継承も進んでいるとした。円安も受注の成功に貢献しているようだ。

 韓国企業は引き続き市場を牽引している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、大宇造船海洋は、先月末の時点で、17隻の受注に成功している。同社は、中国が主に自国の顧客を相手にしている限り競争相手にはならないが、技術的ノウハウを身に着けたならライバルとなる可能性もあるだろうと述べている。

Text by NewSphere 編集部