“失われる日産魂” 海外紙がゴーンCEOの経営手法に懸念

 11月1日、日産自動車のカルロス・ゴーンCEOは、4~9月期の中間決算と業績の下方修正を発表した。また、志賀俊之COOの副会長への任命が発表された。COOは西川廣人氏、アンディ ・パーマー氏、トレバー ・マン副社長の3名が分担して引き継ぐ形になる。

 フォーブス誌は、ゴーン氏のもとで“日産魂”が失われるのでは、と懸念するコラムを掲載した。

【コミットメント経営による世界シェア拡大の弊害】
 ゴーン氏は2001年のCEO着任以来、日産の企業風習を変えるべく、コミットメント(必達目標)経営を行ってきた。工場閉鎖・リストラ等も断行し、「日産の救世主だと思われていた」と紹介。

 同氏は、「長期的成長は競争上有利」との見解を示し、2011年にスタートした「日産パワー88」の継続を発表。この計画により、2016年までに世界シェア8%を目指し、6ヶ月ごとの新製品発売、工場の海外展開と市場拡大を目標としている。

 ただしこの計画に関して、シェアの拡大と利益達成を両立できるのか、市場は懐疑的であると同誌は伝えている。実際、上半期の売上げ台数は3%増加しているが、経営利益は減少しているという。

【メキシコへ新工場建設 海外での新工場増設】
 日産はメキシコに3番目の工場を建設する。新工場は約17万台の製造能力を持ち、メキシコ全体では85万台となる。2014年前半にはブラジルで新工場の稼働も予定しており、北米での製造を200万台に引き上げる予定だという。同社の国内製造割合は21%にとどまるとフォーブス誌は伝えている。

 こうした動きを踏まえ、同誌は、日産は日本車の競争力の源泉である品質や独自性を失ってしまうのではないかと懸念している。

【ゴーン氏退任のタイミング、後継者は未定】
 1日、ゴーン氏は自らの役職に関するコメントは差し控えた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ゴーン氏は2017年3月末まで在任予定と伝えている。同紙はまた、「(現役員)3人の誰もがゴーン氏の後継者の可能性がある」というコンサルタントの見解を紹介した。

Text by NewSphere 編集部