「お金をもらっても読まない」 81年間も延滞された本、酷評書き込まれ図書館に返却

皆さんは、お近くの図書館を活用していらっしゃいますか?

半日~1日をそこで過ごすのもよし、借りてきて自宅で読むもよし。

本の香りに満ちた図書館の清潔な空間が好きだという人は多く、読書は本当に楽しいものです。

そんな中、アメリカ・ワシントン州サーストン郡のタムウォーター市広域を管轄するティンバーランド図書館が、Instagram(timberlandlibrary)で面白い話題をシェアしてくれました。

画像はティンバーランド図書館より提供。以下同

なんと81年も前に貸し出した本が、同州にあるアバティーン・ティンバーランド図書館に戻ってきたというのです。

本のタイトルは『The Bounty Trilogy』。海洋冒険家のチャールズ・ノードホフさんとジェームズ・ノーマン・ホールさんにより、1932年に執筆されたものです。

実際に返却された本

本の中には、当時の新聞記事でしおりが挟まれていた

18世紀の末、イギリス海軍の武装船バウンティ号の内部で艦長に対する反乱事件が起き、「バウンティ号の反乱」と呼ばれるようになりましたが、これを題材にたくさんの書籍や映画が生まれています。

Instagramに投稿された4枚目の写真をよく見ると、貸出記録のあるページの左上に「お金をもらったって、こんな本は読みたくもない(I wouldn’t read this book if I was paid to)」という短いレビューが書き込まれていることがわかります。

「お金をもらったって、こんな本は読みたくもない
(I wouldn’t read this book if I was paid to)」

でもティンバーランド図書館さんによれば、三部作の『The Bounty Trilogy』について、今でも安定した人気を誇っている本だそうです。

図書カードによると、本来の返却期限は1942年3月30日だったとか。

図書館の閉館日と日曜日を除いた日数について、返却の延滞は1 日あたり2セントの罰金が発生し、借りた人は、本当なら484.80 ドル(日本円にして約64,800円)を支払う義務があったようです。

ただ、この図書館はある時からそうした罰金を廃止していました。おそらくご家族でしょうが、それを知って安心して返却した可能性もありそうです。

図書館も「どんなに遅くなっても、返してくださって嬉しいです」と喜んでいます。

罰金の徴収よりも大事なのは本そのものでしょうから、我が子が戻ってきたような気持ちなのかもしれませんね。

なお、アメリカのSNS上ではこの件について、コメントもそれなりに寄せられています。

「返却者を称えたいです」「図書館がまだ存在してくれていてよかった」という声もあれば、「返却しない、遅れる、そして図書館の本に何か書き込みをする。そういった行為にはちゃんと罰金を課すべきでは」という意見もあるようです。

Text by 森みどり