日本人男性の喫煙率、50年で80%から30%へ JTリストラの背景
日本たばこ産業(JT)は30日、競争力と利益の向上をはかるため、2016年の初めまでに任意退職制度で1600人をリストラする、と発表した。また、2015年3月には国内販売の5分の1にあたる商品を生産している4ヶ所の工場も閉鎖する予定だ。
同社では今年3月末時点で、グループ企業を除く約8900人の社員を雇用している。なお、同社経営は依然黒字を維持している。
【国内たばこ市場の縮小】
JTは30日、今回の人員削減について、「国内のたばこ事業は、度重なるたばこ税の増税、健康への悪影響を不安視する声の増加、高齢化など、以前にも増して厳しい環境に置かれている」ことなどを理由に挙げている。
同社はアジアで最大のたばこ企業だが、国内の人口減少に伴いたばこ需要が落ち込んでおり、厚生労働省の調査では昭和40年で82.3パーセントだった成人男性の喫煙率は、平成25年では32.2パーセントとなっている。このような販売の減益を補うため、海外での事業を拡大している、とブルームバーグは報じている。アフリカ、南米、インドネシア、など人口の多い国々で、地元企業との提携などを通して、販売拡大を狙っているという。
また、法律による規制の強化や、たばこの煙を嫌う人が増えているため、電子たばこ(煙の代わりに少量の蒸気を吸引する、たばこに似せた吸引器)などの販売をすすめているようだ。
【世界的なたばこへの潮流:ニューヨークでは】
日本国内だけでなく、世界的にたばこに対する規制は、強まる傾向にあるようだが、アメリカでも若者がたばこを購入することが難しくなっている、とニューヨーク・タイムズ紙が報じている。アメリカでは30日、主要な都市でのたばこの購入を制限する厳しい法案が承認された。ニューヨーク市議会でも、喫煙が法的に認められる年齢を18歳から21歳に引き上げる法案が承認され、マイケル・ブルームバーグ市長は署名する意向だ。
この法案に対し、一部の市民が反対していることを同紙では報じている。その理由は、ニューヨークでは21歳以下でも車を運転でき、選挙権を持ち、軍への入隊ができることを取り上げ、21歳以下でもたばこ購入についての適切な判断をする能力が十分にあるとするためだ。しかし議会では、年齢制限の引き上げは、たばこの中毒を未然に防ぐものだとする市長らの主張が受け入れられた。法案に賛成した議員のひとりは、「法案は、文字通り人の命を救うでしょう」と話している。
議会では、この他、小売業者によるたばこ税の脱税行為に対する罰則の強化や、たばこの安売りの禁止、最低販売価格をひと箱あたり10.50ドルに定めるなどの法案も承認された。
たばこ販売者の代表は、たばこの所持を取り締まらず、購入を制限するだけでは、若者の喫煙を減らすことに効果はほとんどない、と反発している。
同紙によると、ニューヨーク市のたばこを吸う若者の割合は、2001年の17.6%から、2007年には、8.5%と半分以下に減少しているそうだ。