中国産「毒ペットフード」 米国、原因不明で回収できず 注意呼びかけ
米国食品医薬品局(FDA)は22日、中国製のペット用ジャーキーに関して、情報提供を広く求める呼びかけを行った。これは、FDAが2007年に調査を開始して以来、米国内の約3600匹の犬と10匹の猫が、中国産ジャーキーが原因とみられる病気にかかり、580匹は死亡しているためだ。
問題を起こしたジャーキーのほとんどが中国製だが、それ以外にも、米国の製造者は商品ラベルに、原料の生産国を記載する法的義務はない。また、FDAは、情報提供を求める一方で、商品の回収は行っておらず、商品名も名指ししていない。
ジャーキーが原因とみられるペットの健康被害は、食欲不振、元気がなくなる、嘔吐、下痢、水を欲しがる、尿量の増加などで、腎臓機能に障害をきたすペットもいるようだ。
【原因が特定できない】
専門家は、「原因究明にこんなに時間がかかるのは異例だ。通常は、有毒な食品はすぐに特定され、原因が明らかとなり、回収が行われる」と、対応の難しさを指摘している。
FDAは2011年から、1200のペット用ジャーキーについて、全国の研究施設で検査を行っている。また、中国の法律家や研究者と連携し、原因の究明に当たっているという。しかし、FDAのベルナデット・ダナム氏は、今回のペット被害は、「これまでで、もっともつかまえどころのない、不可解な現象だ」と話す。
米国では1月、6種類の薬物が含まれていることがわかった商品の販売を中止した。これらの薬物が、病気に関連があるとは断定できないが、中止後、ペットの病気の発症率が大きく下がったという。市場に出回る中国産ジャーキーが減ったためと考えられるようだ。
同局は、ジャーキーをペットに与えるときにはペットをよく観察し、「与えた後、不調を見せたときは、直ちに中止し、かかりつけの動物医の診察を受け、残ったジャーキーを検査のために提出して欲しい」としている。
【中国国内でも高まる不安】
中国政府は、違法な食品製造者への厳しい取締りの約束をしているが、法整備が進まないためにうまくいっていないようだ、とUSAトゥデイは報じている。
同メディアによると、中国では、経済発展による社会の変化とともに、ペットへの関心が高まっているという。中国政府はこれまで、人の食品の安全性に関するいくつかの問題の対応に追われてきたが、ペットフードも、不法で、しばしば危険な含有物を含むことがある、と指摘している。
中国のネットユーザーはこれまでも、頻繁にペットフードについての不安をネット上に投稿している。最近では、何人かが、有毒なペットフードにより死んだという自分たちのペットの症状について、詳しい書き込みをしているようだ。