伝説のスラム「九龍城」再現! 川崎のアミューズメントパークに海外紙も注目
− 狭い廊下、錆びた鉄骨、天井からぶら下がる電線、埃をかぶった小さな裸電球。
この薄暗い町の名前はHak Nam −
アミューズメント施設「あなたのウェアハウス 川崎店」が、海外メディアから注目されている。
日本では、あちこちにゲームセンターやパチンコ、カラオケなどの遊戯施設がある。競争の激しい市場でより多くの顧客を集めるためには、何かしらの特色を売り出さなければならない。
7年前にオープンしたウェアハウス川崎店は、ラスベガスのカジノやおとぎ話のお城など多様なテーマの空間デザインが魅力の「あなたのウェアハウス」シリーズの中でも、スラム街をイメージして作られたという少し変わった店舗だ。
ドイツのシュピーゲル誌は、一般的なギラギラとしたネオンや音楽が鳴り響く華やかなゲームセンターではなく、犯罪や売春が横行するスラム街がモチーフとなっているため、店内はなんとも薄暗く物悲しいと紹介している。
干しっぱなしの下着とガタついた郵便受けの間に並ぶ自動販売機は、この施設のモデルである、20年前まで香港に実在したスラム街で実際に使用されていたものだという。中国からの観光客の中には、当時の日々を思い出して泣いてしまう人もいるというから、いかに忠実に雰囲気が再現されているかわかるだろう。
インターネットカフェの個室は狭く、ぎゅうぎゅうの室内で飯を搔っ込みながら片手で作業する姿は、スラム街のそれそのものだ。トイレの床に座って酒を片手に物思いに耽れば、どこか遠くで電話のベルが聞こえる。もちろん、スラム街を再現しているとは言え、そこはやはり日本。どんなに部屋の隅でも、清潔さは抜かりないのでご安心を。
窓の無い室内ではタバコも吸え、立ちこめる煙がまたスラム街らしさを引き立てる。公共施設内での喫煙が規制されているドイツでは信じられない光景でもあるが、「ウェアハウス内では、非日常を堪能し、時間を忘れて楽しんでほしい」という店側の意図があるとのこと。
ゲーム産業の盛んな日本にあって、異彩を放つこの施設は、国境を超えて注目を浴びている。