遺体を土にする「堆肥葬」、米ニューヨーク州も認可 環境に優しく注目

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 アメリカのニューヨーク州は2022年12月31日、人体の遺体の堆肥化を認可すると決めた。2019年にワシントン州がアメリカ国内で初めて認めて以来、コロラド州、オレゴン州、バーモント州、カリフォルニア州が続き、今回ニューヨーク州が加わったことで堆肥葬を認可する州は6つとなった。

◆堆肥葬とは?
 「堆肥葬」とは文字通り、遺体を分解されやすい状態に置き、数週間で堆肥の状態にするものだ。具体的には、遺体を木材チップやアルファルファ、藁などとともに容器に入れ、それを特別なカプセルに安置して堆肥化を促進させる。これを手がけるリコンポーズ社によれば、6〜8週間で堆肥化できるという。最終的に得られる堆肥は、花や野菜、草木を育てるのに使うことができる。

Olson Kundig

 料金は7000ドル。全米葬儀業者協会(NFDA)によるとアメリカの2021年の葬儀費用の中央値は土葬が7848ドル、火葬が6970ドルなので、同等の価格だ。

Mat Hayward/Getty Images for Recompose

◆環境に優しい葬儀法
 リコンポーズ社は、1人の遺体を堆肥化することで二酸化炭素の排出を1トン抑えられると述べている。二酸化炭素は昨今ますます深刻化している気候変動の主な原因である。実際、堆肥葬関係の企業400以上が集まるグリーン埋葬協会(Green Burial Council)によれば、1回の火葬で大型SUV車のタンクと同じ量の燃料を消費し、温室効果ガスを排出する(フランス24)。

 これらのエコロジカルな利点を理由に、ワシントン州で堆肥葬を手がけるリターン・ホーム社は、今回のニューヨーク州の決定を「環境に優しい葬儀が全国に広がるための大きな一歩だ」と評価した(BBC)。

 また、堆肥葬支持者らは、堆肥葬は墓地不足にも対応できる選択肢だと考えている。

Text by 冠ゆき