ウクライナ戦争のゲームチェンジャーとなったHIMARS ヘルソン奪還でも活躍

U.S. Department of Defense

 高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」を活用するウクライナ軍は、ロシア軍の占領下にあった地域を猛烈な勢いで解放している。南部ヘルソン州の州都・ヘルソンとその周辺集落の奪還においても、大きな役割を果たした。

◆ロシア軍の弾薬庫を一挙に破壊
 HIMARSは、遠方の軍事目標を精密に狙うロケット砲システムだ。敵陣の奥深くまで入り込み、弾薬庫などの重要な目標を直接破壊する。アメリカがウクライナに提供している。英テレグラフ紙によるとミハイロ・ポドリャク大統領府顧問は、200ポンド(約90キロ)の爆薬を搭載し、50マイル(約80キロメートル)先にあるテーブル大の目標に打ち込むことが可能だと説明している。HIMARSによって前線後方の弾薬庫が一掃されており、プーチンの軍隊は「現実と衝突する」局面を迎えたとポドリャク氏は指摘する。

 ヘルソン奪還においてもHIMARSは、ロシア軍の兵站に必要な橋を攻撃するなど重要な成果を挙げた。米ポピュラー・メカニクス誌は、数千人のロシア軍が市内に留まり補給を必要としているなか、ウクライナ軍はドニプロ川に架かる複数の橋をHIMARSで攻撃し、「市内に数千人の占領軍を閉じ込めたうえ、地上の補給線と通信を完全に絶つという脅しを加えた」と報じている。ロシア軍は撤退を余儀なくされ、ウクライナ軍は以後交戦することなくヘルソン入りを果たした。

Text by 青葉やまと