AIで描いた絵がコンテストで優勝 論争も、広がるAIアートの可能性

Ascannio / Shutterstock.com

 AI(人工知能)技術の発展や活用が進むなか、先日AIを使って生成されたデジタルアートがコロラド州のイベントにおけるコンペで優勝し、芸術家たちの間では論争を呼んだ。AIアートの可能性とは。

◆コンペで優勝した作品とは
 8月25日から9月4日の期間にコロラド州のお祭り「コロラド・ステート・フェア」が開催され、催しの一環としてアート・コンペが開催された。そのデジタル・アート部門において、コロラド在住のゲームデザイナー、ジェイソン・アレン(Jason Allen)がエントリーした作品が優勝した。その作品は、ユーザーが文章を入力するとAIボットが画像を生成してくれるアプリ「ミッドジャーニー(Midjourney)」を使用して製作されたものだ。アレンの作品は『Théâtre D’opéra Spatial 』というフランス語のタイトルが付けられている。日本語では「宇宙のオペラ座」という意味だ。アレンは優勝賞金として300ドルを受け取った。

 アレンがミッドジャーニーのコミュニティに優勝を報告したところ、それがSNSやメディアによって拡散された。ツイッターでは、「クリエイティブな仕事が機械に置き換えられる」「芸術の死を意味する」といったような声も上がった。アレンの作品は、AIツールのミッドジャーニーを使って作られたことが明記されており、コンペの規約違反も犯していないとのことだ。アレンが出品したカテゴリーの定義によると、「デジタルアートはその製作過程もしくはプレゼンテーションにおいてデジタル技術を使用したもの」となっている。コンペの審査員も、審査時点ではAI作品であるとの認識はなかったものの、作品の芸術性を認めており、審査結果に変更はないとしている。

Text by MAKI NAKATA