「引退」ではなく「進化」 セリーナ・ウィリアムズの新たな挑戦とは

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 セリーナ・ウィリアムズが8月、プロのテニス界を離れ、ベンチャー・キャピタルや家族にフォーカスすることを発表。米国ヴォーグや親友のメーガン・マークルのポッドキャストで語られたその心境とは。

◆ウィリアムズの軌跡
 セレーナ・ウィリアムズは最も輝かしい成績を残している米国の女子テニスプレーヤーの一人だ。史上2位の23回のグランドスラム(ウィンブルドン・全米オープン・全仏オープン・全豪オープン)優勝を誇り、姉のヴィーナスとペアを組んで戦ったダブルスでは1999年から2016年の間に14のタイトルを勝ち取っており、女子ダブルスの決勝戦では一度も敗北していない。さらに、オリンピックでもシングルスで1つ、ダブルスで3つの合計4つの金メダルを獲得。クオーツによると319週のキャリアのうち186週連続で女子テニスの世界ランキング1位の記録を持っている。さらに、2017年の1月に開催された全豪オープンで姉のヴィーナスを破って優勝した際は、妊娠2ヶ月目であったという事実も明らかにされている。

 8月、ウィリアムズは「テニスからの進化を遂げる」という言葉とともに、プロ選手としてのテニス生活にピリオドを打つことをヴォーグの記事で発信した。自らの言葉として展開される記事には、引退という言葉が好きでなはなく、自分の今回の意思決定は「進化(evolution)」であると語っている。今後は家庭や子育て、そして数年前に始めたベンチャー・キャピタル事業であるセリーナ・ベンチャーの活動に注力することを伝えている。「テニスか家族かという判断はしたくなかった。男性だったらこうしたことを考える必要はないはずで、不公平だ」とも語っている。

 また、ウィリアムズは親友であるメーガン妃(サセックス公爵夫人)がスタートさせたポッドキャスト番組「アーキタイプ(Archetypes)」の初回ゲストとしても登場。ポッドキャストの後半では「引退」に関する心境を語った。テニスをこれまでも何度か中断したことはあったものの、完全になくなるというのは、経験したことのない新たな境地であるという。また、3歳もしくはもっと小さい頃から親しんできたテニスは、ある意味、すでに選択されていたものであり、今回初めて自分で意思決定をしているとも語っている。

Text by MAKI NAKATA