逆戻りする途上国支援 「助ける」薄れ、「対立陣営に負けない」へ

John MacDougall / Pool Photo via AP

 支援や援助というのは一つに、国際社会では先進国が途上国に多額のお金を渡し、それによって途上国の政治、経済、社会、教育などの発展に役立てるものと想像できる。第2次世界大戦で敗戦国となった日本は当初、戦後復興のため欧米資金に頼り、徐々に復興、経済成長を勢いづかせ、いつの間にか被支援国から世界でも有数の援助国となった。これまで日本が途上国に対して実施してきた資金援助、経済開発は我が国の財産であり、日本人はそれを誇りに思うべきだろう。しかし、世界情勢が流動的に変化するなか、支援や援助という意味が近年変化しているように感じられる。

◆今日も続く先進国による途上国への支援、援助
 6月下旬にドイツ南部エルマウで開催された主要7ヶ国首脳会議(G7サミット)では、先進国が中低所得国に向けたインフラ整備に今後5年間で6千億ドル(約82兆円)の投資を目指すことが発表された。岸田首相も日本が650億ドル(約8.9兆円)以上を担っていく意思を表明した。

 また、岸田首相は5月下旬、日本、米国、オーストラリア、インドの4ヶ国で構成される協力枠組み「クアッド」の首脳会合を首相官邸で開催した際、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、今後5年間で同地域のインフラ整備に500億ドル(約6.9兆円)以上の支援や投資を目指す方針を明らかにした。

Text by 和田大樹