簡単ではない「中ロ接近」 難しくなる中国の国際関係

中国の王毅外相(左)とパプアニューギニアのマラペ首相(6月3日)|Bai Xuefei / Xinhua via AP

 米ホワイトハウスは8日、バイデン大統領が25日から欧州を歴訪すると発表した。バイデン大統領は26日から3日間の日程でドイツ南部エルマウにおいて開催される先進7ヶ国首脳会議(G7サミット)に参加した後、29日から30日にスペイン・マドリードで開催予定の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する予定だという。岸田首相はG7サミットだけでなくNATO首脳会議に出席する予定だが、両首脳会議後に対中国や対ロシアで強いメッセージが発表される可能性が高い。

◆中国にとって難しくなる国際関係
 中国側もG7とNATOのダブル首脳会議の行方を注視しているだろうが、台湾有事や人権、海洋における力による現状変更などに関して中国をけん制するメッセージが発信される可能性はすでに織り込み済みだろう。

 しかし、中国としても英国やフランス、ドイツなどの欧州諸国や日本が一体となって多国間で対中対抗姿勢を鮮明にすることはなるべく避けたいと思っており、そのためにもそれらの国々に対し妥協点や歩み寄りの可能性を探っているはずである。中国の外交を司る楊潔チ政治局委員が7日、日本の秋葉国家安全保障局長と電話会談を行った背景にもそういった思惑が影響していることだろう。

Text by 和田大樹