ストリーミングCNN+、なぜ1ヶ月で終了なのか 競争はさらに激化
CNNの新たな挑戦として期待と注目を集めた、同社のストリーミング・サービスであるCNN+。今年3月29日にロンチしたサービスだが、今月4月末、たった1ヶ月の展開期間をもって終了すると発表された。その背景とは。
◆CNN+は投資回収ならず
CNN+は、米国の大手ニュース専門放送であるCNNが展開するストリーミング・サービス。ロンチにあたっては、約3億ドルが投資されたと報じられているが、1ヶ月という非常に短い期間で幕を閉じることになった。現時点での日々の視聴者数は1万人程度とみられている。この決定は、親会社の新たな経営方針が反映されたものだ。CNNの以前の親会社であるワーナーメディアは、今月上旬ディスカバリーとの統合を完了させた、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーとして新しいマネジメント体制が敷かれた。CNN+は、ワーナー・メディアの元社長であるジェフ・ザッカーが率いたプロジェクトであった。ザッカーは社内交際のスキャンダルで退社させられている。サービス終了に際して、CNNワールドワイドの社長であるクリス・リヒト(Chris Licht)は、CNNのコア事業であるニュース収集、およびCNNデジタルの構築へ投資を集中させる予定であるとコメントしている。
CNN+は、いわゆるネットフリックスなどのようなコンテンツ・ストリーミングのサブスクリプション・サービス。サービス利用額は月額5.99ドル(約770円)だ。CNN+のコンテンツ展開にあたって、同社はフォックス・ニュース出身のクリス・ウォレス(Chris Wallace)、NPR出身のオーディー・コーニッシュなどを採用するほか、アンダーソン・クーパー(Anderson Cooper)、クリスチャン・アマンプール(Christiane Amanpour)、ドン・レモン(Don Lemon)といったCNNの大物ジャーナリストも起用。さらには、多額の予算を投入したサウス・バイ・サウスウエストでのロンチや、アカデミー賞中継におけるコマーシャルの放映なども展開。統合された新会社ワーナー・ブラザース・ディスカバリーが傘下に抱えるHBOマックスとディスカバリー+は、一つのストリーミング・サービスとして統合される。新たなマネジメントは、単独のストリーミング・サービスとしてCNN+の投資回収はできないという判断に至ったようだ。
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