「不当な差別、撤回を」南部アフリカからの渡航禁止、現地反発の理由
コロナウイルスの新たな変異株オミクロンの発見を受け、英国をはじめとする多くの国が南部アフリカ各国からの渡航禁止政策を発表。オミクロン株は欧州域内などでも確認されているのに対して、欧州域内の国に対しては同じような渡航禁止政策が発表されなかった事実に対して、とくにアフリカ各国からは批判と疑問の声が上がった。その詳細とは。
◆南アフリカが報告した新たな変異株
コロナウイルスの新たな変異株であるB.1.1.529が、最初に南アフリカから世界保健機関(WHO)に対して報告されたのは11月24日。WHOは26日に、B.1.1.529を「懸念すべき変異株(Variant of Concern)」と指定し、オミクロンと命名した。今回、変異株を見つけ、南ア保健省とともにWHOに報告を行ったのは、南アフリカゲノム監視ネットワーク(Network for Genomics Surveillance in South Africa:NGS-SA)。NGS-SAは、国立感染症研究所(National Institute for Communicable Disease:NICD)をはじめとする研究所、科学者および学術研究機関らで形成されるコンソーシアムだ。NGA-SAの報告によると、オミクロンのゲノムは11月12日から20日の間に、主に南アフリカのハウテン州とボツワナなどから採取されたサンプルから発見された。オミクロンは基準株と比較して、スパイクタンパク質に30ヶ所以上の変異を有する。
南アフリカの科学者らの報告によって明らかになったオミクロンの発生を受け、英国は11月26日、南アフリカ、ナミビア、ジンバブエ、ボツワナ、レソト、エスワティニからなる南部アフリカ6ヶ国を「レッド・リスト」に加えた。これらの国々と英国のフライトは一時的にキャンセルとなり、これらの国から英国への外国人の渡航禁止措置を行うとともに、英国人の南部アフリカからの入国の際も自費で政府指定のホテルにて10日間の隔離という措置を発表した。英国の措置を受け、世界各国が南部アフリカからのフライトの一時キャンセルや入国制限・禁止などの措置を発表した。
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