オスプレイ配備-本当の危険とは?-
新型輸送機MV22オスプレイが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備された。オスプレイについては今年2件の墜落事故が起きており、政府により調査が行われていた。その結果、事故は人為的なミスによるもので、機体に問題はなく、国内での運用が安全であると結論付けた。米軍は、10月中に普天間飛行場で本格運用を始める方針。普天間飛行場周辺では配備に反対する住民らによる抗議活動が続いている。
朝日新聞は、沖縄県民の不安と反発を代弁した。オスプレイ配備についての賛否は明確に述べていない。大きな事故が起きた場合に、日本の安全に欠かせない日米同盟にヒビが入ると懸念している。また沖縄県民の抗議行動を、オスプレイの安全性に対してだけではなく、米軍基地を押し込める構造が変わらないことへの怒りだと分析。市街地にある普天間飛行場の移設・返還は当然必要だとした上で、2006年に地元・日米合意に至った名護市辺野古への移設案も、沖縄県民の反対から「あり得ない」と述べた。全体的に、新聞の主張というより、“沖縄県民”を主語とした抗議の代弁だといえる。普天間返還の必要性にふれつつ、辺野古への移設案も否定し、代案の可能性には言及していない。
読売新聞は、日米連携強化のために推進すべきと主張した。在日米軍の抑止力の強化と訓練の安全性を両立させるべきが重要とみている。抑止力の観点では、オスプレイが現行ヘリの4倍の行動半径を持ち、南西諸島の離島防衛や北東アジアの安定に貢献できると分析。航続距離が長くなることで訓練の本土移転が可能な点にも触れた。安全性については、オスプレイを極めて危険な機体とする見方を誤解と断じた。低空飛行の高さ制限を盛り込むなど、米軍の譲歩で安全策が確保されたことを評価。根強い地元の反発に対しては、政府が説明を尽くし努力すべきと主張した。
産経新聞は、尖閣諸島を狙う中国などに対し、日米同盟の抑止力を強化する観点から評価している。読売新聞同様、現行のヘリに比べて輸送力、速度に優れることを強調した。反対論者の「オスプレイ=危険」というレッテル張りに対しては、日本の国防の観点を考えていないと強い危惧を表明した。一方、沖縄県民の反対については、民主党政権下で普天間移設問題が迷走を続けたためだと断じた。普天間の現状には懸念を示し、辺野古への移転が唯一最良の解決策だと主張した。協議中の訓練の一部本土移転なども含め、政府は具体的な行動を示せと主張した。
朝日新聞
オスプレイ配備―沖縄の怒りを侮るな(10月2日)
オスプレイ配備―危うい「安全宣言」(9月20日)
読売新聞
オスプレイ配備 抑止力と安全性の両立を図れ(9月20日)
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産経新聞
オスプレイ配備 尖閣からめて説得進めよ(10月3日)
オスプレイ 本格運用急ぎ対中抑止を(9月24日)
<参考リンク>
「沖縄は植民地ではない!!」〜オスプレイ配備に激憤の琉球新報、怒涛の社説群を徹底検証
(木走正水(きばしりまさみず))