「いいね!」で逮捕も?タイ警察、クーデターデマ対策を徹底
タイ警察は5日、フェイスブックに軍事クーデターの「噂」を投稿した4人の捜査を開始したようだ。出頭命令を受けた4人の中には、タイ公共放送サービス(TPBS)の政治記者や、親政府の抗議運動指導者もいるという。
問題となった投稿は、軍事クーデターの可能性を示唆し、国民に食糧や水の買いだめを呼びかけるものだ。関係者は、その投稿に「いいね」や「シェア」をしたユーザーも罰すると警告しているという。軍幹部はクーデターの噂を否定し、国民に慎重な対応をとるように呼びかけた。
有罪判決が下されれば、懲役5年以内、10万バーツ(約31万円)以内の罰金となる。
警察幹部は記者会見で、「投稿内容は信ぴょう性に欠けており、その内容が拡散し続けたなら、国に損害を与える可能性があった」と述べている。
海外各紙は、軍事クーデターの「噂」の背景には、タクシン元首相の恩赦法があるのではと指摘している。
【恩赦法案が通ればタクシン元首相が帰国?】
タクシン元首相の帰国につながる可能性のある恩赦法案が7日、審議される予定だ。
この法案は、2006年の軍事クーデターの際に、政治犯として逮捕された人に特赦を与えるというものだ。当時首相を務めていたタクシン氏は、この軍事クーデターで失脚している。同氏はその後、有罪判決を下されており、今も国外での生活を余儀なくされている。恩赦法案が成立すれば、タクシン氏の帰国の可能性がでてくる。
一方、恩赦法案に対し、1,000人以上の反対者が4日にバンコクで抗議集会を開いた。フェイスブックに投稿された「軍事クーデターの噂」は、この恩赦法案に対する抗議の一つではと考えられる。
なお、現首相であるインラック氏はタクシン氏の妹である。
【恩赦法案抗議に政府が対応?】
政府は先週、抗議行動の暴力の可能性に言及し、首都バンコクの3地区で治安維持法を発動。8月1日から10日まで道路の封鎖、外出禁止令、指定地域内で電子デバイスの使用禁止などを行使し、抗議行動をけん制した形だ。
さらに、治安維持法に基づく特別な平和維持指令をだしており、タイ国内で重大な影響を与えるおそれのある情報の共有をしないようにと警告している。
タイでは2007年、コンピュータ犯罪行為に「ハッキング」や従来のオンライン犯罪に対処するだけでなく、社会をパニックに陥れたり、国の治安に支障がでるような情報の流布も禁じている。