物議を醸したオカシオ・コルテス議員のメットガラドレス 込められた意図とは?

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 9月13日、メトロポリタン美術館が開催する最大級のファッション・チャリティ・イベントであるメットガラ(Met Gala)が行われ、各界の著名人がさまざまなファッションを身にまとって登場した。そのなかでも、ニューヨーク州代表のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員の存在はとくに注目された。その背景とは。

◆パンデミックを経て再開のメットガラ
 メットガラは、メトロポリタン美術館が毎年5月の第1月曜日に開催するファッションのチャリティイベント。メットガラの名称の由来はコスチューム・インスティテュート・ガラ(Costume Institute Gala)で、イベントは同美術館のコスチューム・インスティチュート(服飾研究所)の資金調達のために行われる。通常、毎年さまざまなテーマに基づいて展開される服飾関連の企画展示のオープニング・パーティーとして開催され、参加者は関連テーマに沿った装いで登場する(今回のテーマは「アメリカの独立(American Independence」)。コスチューム・インスティチュートは、メトロポリタン美術館のキュレーション部門で唯一、自己資金で運営している部門であり、メットガラによる収益は重要な資金源だ。2019年開催のメットガラは1500万ドルを調達。招待制のパーティーのチケットは3万5000ドル(約380万円)、テーブルチャージは20〜30万ドル(約2200〜3300万円)だ。

 昨年はパンデミックのため開催がキャンセルされ、今回は通常とは異なるスケジュールで9月13日に開催された。規模も少し縮小され、参加者も絞られた。今回のガラは、2021年と2022年にかけてメトロポリタン美術館にて開催される「アメリカン・ファッション」に関する二部構成の展示の幕開けイベントだ。第1部のテーマは「In American: A Lexicon of Fashion(アメリカのファッション目録)」で、アメリカの近代ファッションの文脈におけるさまざまな語彙を探求する企画だ。第2部のテーマは「In American: An Anthology of Fashion(アメリカのファッション作品集)」で、映画監督との協業でファッションや映画における複雑で多層的な歴史に関連したさまざまな物語を展開するとのこと。第2部の会期は、来年5月にスタート。5月の第1月曜日に通常規模のメットガラが開催される予定だ。

 企画展示のキュレーターであるアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)は、第1部の企画は、服が持つ表現という特性、そして平等・ダイバーシティ・インクルージョンの課題との深い関連性に基づいたアメリカの近代ファッションの語彙を確立するものであるといった趣旨を説明した。

Text by MAKI NAKATA